柔よく剛を制す 剛よく柔を断つ �� ページ11
いなくなっても考え込んでいる海咲に、不満そうなヴィクトルに勇利は大丈夫かな・・・・とハラハラと見守っていると、ヴィクトルが海咲を背後から抱き締める。
「海咲―？
まーだ彼らの事考えているの？」
「うん・・・・なんだか気になるの。
不安・・・・？不穏？な感じ」
「ふうん・・・・・」
むすっとしているヴィクトルだったが、突然海咲が腕の中で半転し前から抱き着かれ驚く。
「え・・・・・・？」
「何か恐い」
ちょっとだけくっつかせて、と言われ『どれだけでも良いよｖｖｖｖｖｖｖ』と言い掛けて慌てて言葉を飲み込む。
そんな事を言ったら、途端に自分で立ち直ろうとしてしまうから。
何も言わず、ただ抱き締めてぽんぽんと背を撫でていると、キラキラとした目で見つめて来る勇利に首を傾げる。
(勇利・・・・？何故そんな風に目を輝かせて俺を見てるんだ？？)
胸元に掛かる重みが軽過ぎて不安になるが、自分よりも体温の低い海咲がくっ付いている事で自分の体温が混ざる頃、もう大丈夫と体を起こした海咲にそう？と首を傾げる。
まだ不安そうに瞳が揺れている海咲に、手を伸ばすと弱々しい笑みを向けられ眉を顰めた。
「海咲？
無理は良くないよ」
「・・・・・・・・・・・」
俯いてしまった海咲に、一体何が不安にさせているのだろうと首を捻りつつ部屋に戻ろうか？と言うが、嫌だと首を横に振られる。
「海咲？」
「・・・・・・恐い」
一体何が？と尋ねるが、良く解らないと俯く海咲に、ヴィクトルはじゃあもう少し此処に居ようか、と微笑み掛けた。
時折、自分のトップスの裾を握る海咲に好きな様にさせていると、自分たちの前を速足で出て行くイザベラに気づいた海咲がぎゅうっとヴィクトルに体を押し付ける。
それを受け入れながら、彼女が原因か？と見て居るといなくなった彼女を目で追っていた海咲はヴィクトルの腕に顔を埋めた。
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作者名：若桜 | 作成日時：2019年3月12日 21時
