雪の中に咲く花 �� ページ7
騒ぎに気付いた家族が慌てて飛んで来て謝罪されたが、ヴィクトルは前回程ではないが、それでも赤くなった手首を示し、その謝罪は本人からでなければ受け入れられないと謝罪を拒否する。
「俺はっ絶対に謝らない！！」
「もう！この恥さらし！！」
信じられない！と顔を真っ赤にして謝りなさい！！と金切り声で叫ぶ姉に海咲はあ〜と遠い目をする。
「兎に角、彼に謝罪するつもりが無いのに、本人ではない貴方方の謝罪は結構だ」
行こう、と促された海咲は羞恥と怒りに泣いている彼の姉に深く同情しつつ、此処でそれを言うと今度はヴィクトルに恥を掻かせる事になる為口を閉ざす。
一体、何があったのだと問うヤコフが海咲の手首の腫れに気づき、リリアがすぐさま冷水で冷やしたハンドタオルを頼み冷やしてくれた。
「ヴィーチャ」
「・・・・・」
ムッスーと不機嫌な彼に、答える気はないと諦め海咲に問う。
「何があった？」
「ナンパされました」
「はぁ？」
全世界の前で妻だと発表したのにか？と言えば、海咲はマントの『衣装』を着ていたから【演出】だと思われていたのでは？と言うが、それなら演出で嵌めていた指輪をネタではない限りつけたままにはしないと首を振る。
「どうでも良いよ、そんな事。
それよりも、彼の姉が気の毒だ」
弟がああでは、行く先々で問題を起こしている筈だと言えば、ヤコフもロシアでも付き添いに来ていた他の選手の妹に付きまとっていたと頭を振る。
「ユーリと真逆だ」
「あ？」
何で俺を引き合いに出すんだよと睨むと、ああはなるなよ、と釘を刺す。
「ならねえよ、ダセェ」
「海咲、痛くない？」
「うん、痛みは全然無いよ〜」
でも、男の人の握力って凄いね〜とのんびりした海咲の声にヤコフ達は毒気を抜かれるが、ヴィクトルだけは顔を強張らせたままだ。
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作者名：若桜 | 作成日時：2018年4月2日 20時
