雪の中に咲く花 �� ページ6
「ヴィー・・・・」
やぁ、随分と軽い頭だね？と開口一番絶対零度の声で睥睨する彼に、男はニヤリと笑う。
「年下の女の子が趣味だったんですか？」
そろそろ、飽きたでしょう？貸して下さいよと言われ、イラッとする海咲が攻撃の為に地を踏み締めると背後から勇利が『駄目だよ！』と耳打ちする。
「っだって！」
「絶対ダメ！！」
こんな所で喧嘩だけは駄目、海咲ちゃんが勝っちゃうからと言えばヴィクトルから『勇利』と体温の無い声で呼ばれる。
「はいっ」
「行くよ」
コイツに関わっている時間なんか無いと背を向けると、『怖いんですか』と投げつけられる。
「ヴィー」
「いいから」
この場で騒ぎを起こすなんて、smartじゃないからと微笑む彼の笑みが強張って居て、自分よりも遥かに憤っている事に気づき口を噤む。
「リビングレジェンドだなんだって言ったって、腰抜けじゃないか」
喧嘩一つまともに出来ない弱虫と嘲る彼に、ヴィクトルは五月蠅いなぁと片眉を跳ね上げる。
「ヴィー、駄目」
「わかっているよ」
彼、どうしてやろうかなぁと、不穏な笑みを浮かべる彼に海咲はマズい、と血の気が引く。
明らかに年下の彼は、ヴィクトルを知ってはいても、恐らく別競技の選手だ。
じゃなければ、この場で彼に噛み付いたりしない。
あのユーリでさえ顔面硬直してこっちを凝視しているくらいだ。
「ねぇ、君もそんな男ほっといてさ、こっち来いよ」
「いい加減にしてくれるかな、彼女は俺の妻だ」
「は？」
あんた自分が幾つだと思ってんだよ、年下の女の子妻になんて、と言われ海咲はやっぱりと溜息を吐き、ヴィクトルはニヒルな笑みを浮かべる。
「確かに彼女は年下だけれど、俺とは二つ違いだよ」
「あ？」
二つ？と首を傾げた彼は、一拍後大きな声で『はあああああぁぁぁぁぁ！！！？？？』と叫ぶ。
「五月蠅い」
「うっそだろ？
幾ら日本人が童顔って言ってもどう見ても未成年者だろうが！！」
「事実だよ。
それに君よりも年上だしね」
君、アイスダンスの選手の弟だろうと、睥睨する。
「君の姉に迷惑を掛けるな」
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作者名：若桜 | 作成日時：2018年4月2日 20時
