凱旋の舞台裏 �� ページ49
SNSで勝生勇利凱旋！のニュースに慄く勇利に、海咲は『まぁそうだよね〜』と笑い、じゃあ此処で！と先に出ようとしたが、ヴィクトルに捕まえられてしまう。
「え？」
「海咲？まさか一人で行く気？」
許さないよぉ？と凄まれ、慄く海咲はそれでもと体を捻って逃げ出そうとするが、ヴィクトルはこらこらと苦笑しながら難なく海咲を腕の中に捕まえてしまう。
「ヴィー！」
「ダーメｖ」
俺のお嫁さんなんだから、と抱き込まれ逃げられない。
いや、怖い、抹殺される！と怯える海咲に大袈裟だよ、と苦笑したヴィクトルはちょっと裏技を使おうか、と笑う。
「え？」
「要は、解らなければ良いんだよ★」
まず勇利が行って、俺と海咲が出れば気づかれないさ♪と言う彼に、勇利はそれって僕がスケープゴーストになるだけだよね！？と突っ込むとアハハハと笑い飛ばされる。
「冗談だよ勇利。
そんなに必死になって、また子豚ちゃんみたいに震えるの？」
「僕は注目されたくないんだよ！」
「それは無理だろ」
お前、日本人で唯一GPFに進んだんだからと言われ『ああああああああ！』とジレンマに絶叫する勇利に海咲がヴィクトルの腕の中から頭を撫でる。
「助けて海咲ちゃん！！」
「無理、私既に捕まってます」
寧ろ私が助けて欲しいと涙ぐむと、ヴィクトルは俺が助けてあげるよｖｖと笑う。
「ねぇ、誰よりも私に今現在舌舐めずりしている人が『助ける』なんて言ってるんだけど」
「その人僕のコーチで、君の夫だよ」
どうしよう、僕らに逃げ場が無いよ！と嘆く勇利に、海咲は更に幼馴染なんだけど、と死んだ目になる。
「何で私此処に居るんだろう」
「俺が望んだからだよｖｖ」
きゃっきゃと燥ぐヴィクトルに頬擦りされている海咲に、勇利ははっと気づく。
「待って、海咲ちゃん。
どっちにしろ僕は仕方ないにしても、ヴィクトルと居たら海咲ちゃんも囲まれるんじゃない？」
ヴィクトル選手復帰したから皆待ち構えている筈、と言えば声無き悲鳴を上げた海咲にヴィクトルは勇利を睨みつける。
「駄目じゃないか勇利〜
海咲が折角気づいてなかったのにぃ」
「え、やっあの！」
腕の中で逃げようと再び暴れ出した海咲を両手で押さえつける様にして抱き締めたヴィクトルはこらこら、と海咲の首筋にキスを落とし無効化すると『逃がさないって、言ったよね？』と囁き腰を砕いた。
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作者名：若桜 | 作成日時：2018年4月2日 20時
