凱旋の舞台裏 ページ47
笑顔で取った朝食後、すぐにキャリーバッグを引いてホテルを後にした三人は、空港のラウンジでのんびりしながら離着陸を繰り返す飛行機を眺めていると、ヴィクトルがあ〜ぁ、とぼやく。
「ヴィー？」
「海咲と折角長く居られたのに」
ストライキ、起きないかなぁという彼にギョッとする。
「そうしたら帰れないよね★」
「や、やめてやめて！
ヴィーが言うと本当に起きそうだから！！」
「本気だよ？」
海咲と居られるなら何でも利用する♪と笑う彼に海咲が縋る様にやめてー！と言うが、彼は楽し気に嫌だｖｖと笑って居る。
「そんな事になったら私辞めさせられる！！」
「素晴らしいね★」
そうしたら早く海咲とロシアに行けるね☆と言われ海咲は顔を横に振る。
「実務経験年数不足で、一年延びるんだけど」
「それは駄目だ！」
冗談じゃない！と態度を一変させた彼は何事も無く日本に帰らなくちゃ！と言うと、海咲を抱き寄せる。
「もう一年だなんて待てないっ」
そうだ、一緒に大使館に行かないとだったね！と日本での予定を思い出したヴィクトルはキラキラと瞳を輝かせると頬擦りをする。
「！？」
「でも、海咲と数日とはいえ離れるのは辛いよ」
ずっと俺の腕の中に居てよ、と甘える彼にくすくすと笑った海咲は、遠い目をしている勇利に話し掛ける。
「勇利君、大将なんて？」
「へぁ！？あ、うん。
真利ねぇさんが車出してくれるって」
「そっか、真利さんアクティブだよね〜」
「海咲ちゃん程じゃないと思うけど」
思い立ったが吉日と行き成りＤＡＹキャンプには行かないと言えば、気持ち良いよ？と首を傾げられる。
「釣りも出来たら最高のランチだし」
「太公望過ぎるよ！？」
リフレッシュは大事だよ？と笑う海咲は勇利君だって趣味あるでしょう？と問いかける。
「・・・・今の僕、趣味と好きなものががっつり一緒なんだけど」
「あ」
ヴィクトルの鑑賞と、選手としての練習が同時進行だった。
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作者名：若桜 | 作成日時：2018年4月2日 20時
