予想外 ページ43
結局、酔っぱらってケタケタと笑って居る勇利に肩を貸し、楽しそうにくすくすと笑って居る海咲の腰を抱いて部屋に戻ったヴィクトルは二人とも酔っても可愛いな、と笑う。
「ヴィクトル〜
ね〜ね〜、おいもロシアに行って良かっちゃろ？
一緒にまた居れるっちゃろ？」
「うん、一緒に今度はライバルとしても頑張ろうね、勇利」
「うんうん。
おい頑張るけん、ずっと傍に居(お)って？」
「ふふ、そうだね」
その代わりお前も頑張るんだよ？と言うとへにゃりと笑って寝落ちする勇利に、やっぱり勇利は酔った方が自分に素直だなと笑い海咲を見た彼は硬直する。
「は！？」
ハイヒールを脱ぎ捨て、ソファーに座り込んでいた海咲が突然微笑み両手を伸ばしてくる。
何時もと違って、甘える様な声で『ヴィチューシュカ〜』と呼ばれ一気に顔が真っ赤になる。
手を出せないのに、ヴィクトルを誘う眼差しと肢体にマズイマズイマズイと目を閉じて海咲の魔性に負けるなと自分に言い聞かせるが、自分の首筋に抱き着いてキスをしている海咲の香りと柔らかさに、かえって記憶が鮮明になる。
『あ？酔った海咲？？フツーに笑い上戸ってくらいだぜ？』
『ねぇーちゃん？笑い転げて手がつけられない』
『海咲？誰彼構わず甘えてくる奴甘やかしてるぞ』
『お友達の介抱してたのに記憶ないっ言ってるとは聞くわよ』
「みんな嘘つきだっ」
甘えてくれるなんて聞いてない、こんなにも妖艶なんて聞いてないと呟くが、くすくすと笑って甘い声でヴィクトルを呼ぶ声に頭が痺れる。
「ヴィー？」
「海咲、綺麗だよ」
こうなったらヤケだと、海咲に見せない雄の目で誘惑すると、寧ろうっとりと見上げつつ更に誘惑して来る海咲に陥落しそうになる。
「しまった、海咲は酔うと羞恥心が飛ぶのか・・・っ」
「ヴィー、好き。
ぎゅってして？」
甘い声で妖艶な目線で誘いながら、可愛いお願いする海咲に、これ一度でも抱けばこの要求がそちらに傾くのが容易に想像出来るっと戦慄する。
今はされた事がないから、して欲しい事を言っているだけだと気づいたヴィクトルは絶対家呑みしかさせないと誓った。
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作者名：若桜 | 作成日時：2018年4月2日 20時
