あぁ愛しのキキーモラ２【ヴィクトル・ニキフォロフ】 (ページ5)

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雪の中に咲く花ページ5

シャンパン片手にヴィクトルにエスコートされていた海咲は、飲み終えたグラスをウェイターに渡し近くにあったフラワーアレンジメントの中にノースポールを見つけ立ち止まる。

諸説あるが、ヴィクトルの誕生花である白い雪のような花には『誠実・高潔』と言う花言葉があり、ぴったりだと思う。
色とりどりの花にうっとりと見ていると、後ろから肩叩かれ振り返る。

「やっと見つけた」

「え？」

振り返ると、どこかで見た事がある様な気がする銀髪で長身痩躯の男に首を傾げる。

「あれ？忘れちゃった？
あんなに運命的な出会いだったのに」

あぁ、こんな指輪は要らないね、とヴィクトルとの結婚指輪を取られそうになり、抜かれない様にと拳を握ると手首を強く握られた。

「やっぱり細いね。
このまま力を入れたら折れそうだ」

くすくすと冷酷に笑う彼に、海咲はやっとあの時ロシアの空港で手首を掴んで来た男だと気づく。

「嫌っ」

「暴れるなよ！」

黙れ！と口を塞ごうと顔に伸ばされる大きな男の掌に、強く腕を振り切って逃れると、男が逆上する。

「この俺が相手してやるって言ってんだよ！」

このクソ女！と罵る彼を睨み付ける海咲が『コイツ・・・！！』と拳を握ると背後から腰を引かれ抱き込まれる。

「海咲、君がそんな事する必要はないよ」