あぁ愛しのキキーモラ２【ヴィクトル・ニキフォロフ】 (ページ40)

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いつか王子様が　⑥ ページ40

泣き疲れてぼぅ・・・としている海咲にお酒では可哀想だとレモネードを渡す。
大人しくそれを嚥下した海咲は真っ赤になった目で見上げて来て、ヴィクトルはしまったな、と後悔する。
ただでさえ子兎な海咲はストレスに弱いのに、安全な筈のヴィクトルの腕の中で恐怖に震えた為に憔悴しており、未だに瞳は潤み瞳が揺れている。

「・・・・・」

「海咲」

はくはくと、どう名前を呼べば良いのかと迷っている海咲に『いつも通り呼んでよ』と促せばおずおずと『ヴィー・・・？』と呼ぶ海咲に怖がらせてごめんと頬擦りする。

「ごめ「聞きたくないよ」っっ」

海咲は悪くないのに、謝らないでと懇願する。

「海咲、俺が君に理不尽な要求をしている時は今後怒ってくれないか？」

俺、目的の為ならば何でもしてしまいそうで怖いと言えば、きょとんとした海咲はじっとヴィクトルを見つめた後俯いてしまう。

「海咲・・・・？」

「すっごく、怖かった」

「うん」

恐かったの、と怯える海咲にヴィクトルはこんなことをしているから海咲が言葉で助けを求められないのだとわかっていた筈なのに、と胸の痛みに耐えていると目の前にウォッカと真っ赤なカクテルが置かれる。

「「え？」」

驚き顔を上げると、苦笑したマスターが夫婦喧嘩は終わりましたか？と尋ねる。

「「あ、はい」」

ぴったりと揃った返事に、彼は静かな夫婦喧嘩でしたね、と揶揄う。

「此処に来られるご夫婦は、時折大声て罵り合って出て行かれる事が多いですが、お二人の夫婦喧嘩は気づかれない様な静かな物で助かりました」