あぁ愛しのキキーモラ２【ヴィクトル・ニキフォロフ】 (ページ34)

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妻と婚約者　④ ページ34

むっすーとしているヴィクトルに諦めきった顔をしていた勇利に、気にせず楽しんで来て、と再び送り出した海咲はそっと体をヴィクトルに寄せくすくすと笑う。

「怒ってる～」

「当然だよ」

婚約者と妻は全く別物なのに、彼女海咲の事を見下していた癖に、俺が凄んだだけで顔色を失くすくらいならしなければ良いのにね？と言い居ながら寄せていた体を抱き締められた。

「わぁ」

「海咲、俺体を寄せられるだけじゃ我慢出来ない。
いつでもどこでも海咲に触れて居たいんだ」

触れ合うだけじゃ海咲が全く足りなくて苦しいと言われ、昔からじゃない、と突っ込む。

「そうだよ？
やっと手を繋ぐ事に慣れてくれたと思ったら日本に帰っちゃうし。
ロシアに戻って来てくれた時にはすっかり元通りになっちゃってるから手を繋ぐだけでも随分かかったよ～」

キスなんて、それこそ頬にするだけでも気が遠くなる程時間が掛ったと恨み言を言われ苦笑する。

「しかも、再会してすぐの日はキスしただけで拒絶されたし」

かなり傷付いたと涙目で見つめられ海咲はあの時はヴィクトルが結婚した筈なのに自分にもキスをするのかと思ったと言えば、相手は海咲以外考えられないよ！！と噛み付かれる。

「絶対に、もう二度とそんな事思わないで」

「うん」

間違わないで、俺の好きな人は海咲だけ。
そう熱く囁かれ、此処まで求めてくれる人は居ないと微笑むと、ぱっとヒマワリの花の様に笑う彼に、可愛いっと笑った。