指導理念 〜母性と父性〜 �� ページ7
「彼女が？冗談だろう」
彼女は人を堕落させる、という彼にヴィクトルはつくづくお前は可哀想な奴だと肩を竦める。
「彼女は人を育てる仕事をしているんだよ。
それに、人望もあるし人が集うんだ」
優しくて厳しい君を誇りに思うよ、と腕の中の海咲に微笑み掛ける。
「何？」
「選手に身を切らせておきながら、自身の指導に遭わなければ選手ごと契約満了の言葉で切り捨てるお前に勇利の事もどうこう言われたくないな」
勇利は、お前が思っている以上にスケーターとしてまだまだ輝ける、と言い切るヴィクトルにチェレスティーノは確かにな、と嗤う。
「憧れのスケーターにコーチをして貰えればな」
「違うよ、海咲もだ」
俺だけでは勇利に追い詰めてしまうが、海咲がフォローしてくれているから勇利は今のびのびとしていると言い放つ。
「温室で育てた花は綺麗だが弱いんだ」
俺なら勇利を大輪の強く強かな花に育てられると言えば、路地栽培は虫が付きやすく誘惑が多いと指摘する。
「彼女の様な、な」
まだ言うのか、と海咲を抱き締める手に力が籠る。
「もっとも、コーチが堕落させられているのであれば言うだけ無駄か」
「お前の目が曇っている限りはそう思うのだろうね」
常にストレスに晒されている選手は脆く壊れやすい。
甘やかすのではなく、癒す海咲の事を誤解しているお前にはわからないだろうね、と蔑む。
「そんな女を妻にするとは、ロシアの皇帝も堕ちたな」
「海咲だからこそ妻にと願ったんだ。
本当の海咲を認識出来ないお前は可哀想だ」
そうか、ならそれでいいと背を向ける彼はあぁそうだ、と顔だけで振り返る。
「せいぜい気を付けると良い。記者がここら辺を張っている」
全く、ゆっくりとお祈りも出来ないと後ろ手を振る彼を見送ったヴィクトルは、しがみ付く様に身を寄せる海咲に『これからは俺が守るよ、今まで一人にしてごめん』と抱きすくめた。
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若桜(プロフ) - 樹さん» お待たせしましてすみませんでした。お陰様でラストまで辿り着けました！なるべく更新出来る様に頑張ります！！ (2018年3月20日 22時) (
レス) id: 11f532c383 (このIDを非表示/違反報告)
樹 - 本編終了おめでとうございます。そして、リクエスト書いてくださってありがとうございます。これからも毎日更新していないか覗きに来ますので、作品楽しみに待ってます。 (2018年3月20日 10時) (レス) id: 8e6b7bcff3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：若桜 | 作成日時：2018年3月19日 21時
