転生オタクはアオハルを楽しみたい。 ページ34
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カーテンから漏れ出る朝日と、場違いに響くノックの音で目が覚めた。
まだ全然高専に間に合うし、こんな時間に誰だろう。と、1つ伸びをしてそのまま玄関へ向かう。
といっても、こんな時間に私の部屋に訪ねてくるとしたら硝子ちゃんしかいないわけで、別に寝間着のままでもいいだろうと扉を開けた。
……そんな呑気な考え方をしていた私は完全に油断していたと思う。
「や」
『は、?』
キラキラと光る笑みを浮かべて扉の前に立っていたのは、昨日私に本性を吐かせ、挙げ句脅した(語弊があるが)前髪こと夏油くんだった。
スッと目がすわったのが自分でも分かり、落ち着こうと扉を一旦閉め「何しようとしてるのかな」られるわけなかったわ。あれ?デジャヴだね。
とりあえず一回その扉の隙間に挟んだ足どかそうか。そうその無駄に長い足。
抵抗も虚しく、呆気なく扉は開かれた。
今とても甚爾くんのゴリラ並みの力が羨ましくなったよ……。
『おはよう。何の用?こんな朝から』
「特に用はないけど君の顔が見たくなってね」
……What?
この後すぐに教室で会えるのに??
君は私の彼ピか何かか??
『寝言は寝て言ってよ頼むから』
「辛辣だね」
きっと寝ぼけてて頭が残念なんだよ夏油くんは、その前髪のように。
そんな大層失礼なことを考えていると、夏油に頭を鷲掴みにされた。いや、地味に力こもってない?地味にじゃないよいたいいたいいたい!
『何で!?』
「何か失礼なことを考えていそうだったから」
『……ソンナコト、ナイヨ』
「嘘下手か」
「まあとりあえず」と、夏油はようやく私の頭をぎりぎりと掴んでいた手をどけて、ふむ、と私を上から下まで見る。
「その服着替えてこよっか。
待ってるからさ。一緒に教室行かないか?」
キラッキラの笑顔に有無をいわせない圧力をこめてくる夏油に私は『アッハイ、ゼヒ』という他なかった。
『お待たせ』
「うん、じゃあ行こっか」
準備が終わり、待っていてくれた夏油のところへ行けば、スッと手を差しのべられた。
訳が分からなくて差し出された手と夏油を見比べ、その手の上に自分の手のひらを軽く乗っけて『わん』と言う。
爆笑された。
「エスコートでもしようかと」
とひとしきり笑った夏油が言っていたが、教室に行くだけなのにエスコートは要らないと思う。
私が間違えたのも頷ける話だろう。……たぶん。
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おかず(プロフ) - にゃーちゃんさん» コメントありがとうございます。本当に励みになります!続編も合わせてお楽しみください (2022年12月19日 20時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します!めちゃくちゃ面白いです…!!夢主ちゃんの心境に共感の嵐で雨あられ(は?)続編是非とも見たいです!更新頑張って下さい!楽しみにしてます! (2022年12月16日 20時) (レス) @page40 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
おかず(プロフ) - マリオットさん» 大好きだなんて、凄く嬉しいです!ありがとうございます。更新頑張ります! (2022年11月20日 19時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
おかず(プロフ) - 一条ルナさん» 本当ですか?そう言って貰えると幸いです!今後もどうぞお付き合い下さい (2022年11月20日 19時) (レス) @page38 id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)
マリオット - 一条ルナさん» 私もです。一条ルナさん!てことで作者様、需要あるのでよろしくお願いします!!私、この作品大好きなので。 (2022年11月19日 15時) (レス) @page36 id: 4a1e7dbbbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ | 作成日時:2022年8月19日 16時