♯７ 五月雨 ページ7
「はぁ…はぁ…はぁっ…」
終了の鐘が鳴るのと同時に、雨が降っていることも忘れて、ラザルを飛び出した。
(イアルさん…)
頭にあるのは、彼のこと、ただ１つだった。
羽色の変化の原因が分かってきた頃だった。
彼らが食べている、肉塊の微妙な変化が原因、と目星をつけ、肉塊に薬草やら何やら詰め込んでいる時だった。
「ちょっ…エリンさん？」
「…はいっ!? な、何ですか!?」
後輩に声をかけられ、過剰反応してしまった。
瞬時に顔が赤く染まる。
「大丈夫…ですか…？ 何か遠くを見て、手が止まってました」
「…あ、そう。 ありがと。」
この王獣舎に来ると、彼にどうしても会いたくなる。
それほど、ラザルの王獣舎は思い入れのある場所だった。
肩をすっぱり切られた彼と、一夜を過ごしたあの日…
あの時の暗く沈んだ表情が鮮明に甦る。
(忘れ…られない…)
彼のことを考えると、頭がぼぅっとする。
今ここにいない、彼の存在をふっと感じたりして…
とにかく、この王獣舎にいて彼の存在を忘れることはなかった。
頭に住み着いて離れない、この気持ちは何なのだろうか…
しかも今日は、その思いがひどく強い。
(会いたいな…)
強い思いに揺さぶられ、後輩に後を託して彼のもとへ向かった。
「えっと……」
買い物に出かけた時、彼に出会ったのはこの道だった。
しかし… 彼に気付かれぬように家を探したのだが、どうもその道を覚えていない。
(あの裏の路地を通って…左？)
雨脚が強くなってくる。
目の前が灰色に変わっていく。
影法師がうっすらと向こうからすれ違う。
怖い、怖い、怖い………
今になってようやく、迷ったと理解が出来た。
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冴野(プロフ) - 私もイアエリ好きです！更新頑張って下さい。 (2014年8月16日 1時) (
レス) id: 854f9bbd69 (このIDを非表示/違反報告)
ＸＯＯ - 他のも見てみたいです。（！−！）是非書いてください。 (2013年10月30日 16時) (レス) id: 3cf93702ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：erincha@ | 作成日時：2013年5月3日 9時
