♯６ 真紅 ページ6
(どうしてこう、もっと上手くいかないかな…)
彼女と意志疎通が図れたら…と思う気持ちのどこかに、彼女を独占したい、という黒々とした気持ちが浮かび上がる。
(エリンが…欲しい。)
この影法師のどこかに彼女がいるならば、おれは彼女を瞬時に見つけ出すことが出来るだろう。
結局、６ヶ月間虚ろなおれの中身を満たしてくれていたのはエリン、ただ１人だけだった。
では、さっき感じた憤りは何だったのだろうか……
(あれは…悋気か…？)
身体を真紅に染めていく思いに、もう抗いようもなかった。
エリンに抱いた気持ちを理解した今、おれの何かが吹っ切れたような気がした。
(だめだ…)
考えれば考えるほど、彼女に溺れていく。
(振り切らなければならなかったのに、なぜ…？)
どうして彼女を拒んでしまうのか。 その理由はいくらでも思いあたる。
(エリンはおれに…似合わない。)
何人もの人間を殺傷したおれの手と、言葉を奏でるエリンの手。
その違いは一目瞭然だった。
しかし…なぜ彼女を求めてしまうのだろうか……
目を閉じた瞬間、おれは暗闇に吸い込まれていった。
久々に夢を見た。
あの頃の習いで、夢など甘く、優しい嘘で出来たものは見てはいけないと叩き込まれた。
ただ…今だけは、甘く、温かな空想の毛布にうずくまっていたかった。
今のおれの姿を、誰にも見せたくなかった。
見られたくなかった。
特に…エリンには見られたくなかった。
彼女がおれの前に現れた日から、何もかもが違く見えた。
眼の前の景色も。 自分の顔も。 自分の気持ちも。
頭の中に、彼女が浮かんでは消える。
手を伸ばしても、彼女をすり抜けて、届かない。
「ねぇ、イアルさん……」
彼女の声が頭にこだました刹那、おれは一切を理解した。
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冴野(プロフ) - 私もイアエリ好きです！更新頑張って下さい。 (2014年8月16日 1時) (
レス) id: 854f9bbd69 (このIDを非表示/違反報告)
ＸＯＯ - 他のも見てみたいです。（！−！）是非書いてください。 (2013年10月30日 16時) (レス) id: 3cf93702ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：erincha@ | 作成日時：2013年5月3日 9時
