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その後もヴェスパーは歩みを止めずに、隣のビルの屋上まで連れてこられた



春の少し強い風が私のヴェスパーの間を吹き抜けた



「来ないねぇ、バーボンも公安もFBIも…もしかして宮咲チャン、見捨てられた?」



『零くんは、そんな事しない。約束したもの』



零くんの正体がバレてる以上、私達の関係を隠す必要も無い



「ハァ?俺、そーゆーのが一番嫌いなんだよ。約束したから、大切な人だから、愛してるから…そんなこと言ってる偽善者みたいなやつ見てると、ほんとにムカつく」



早口でそう言うヴェスパーの顔は、笑っているのになんだか悲しそうで、辛そうにも見えた



『どうして、そこまで?』



「Need not to knowってね…チッやっと来やがったか」



ヴェスパーが視線を向けた方を見ると、カンカンカン…と非常階段を駆け上がる音がかすかに聞こえた



『零くん…!言ったでしょ?来てくれるって』



「俺の事、イラつかせようとしてんの?わざわざ煽るようなこと言って…そんなに早く死にたい訳?ねぇ、何とかいいなよ。ほら、ほら、ほら!」



ドンッと肩を押されてよろけると、ヴェスパーも1歩こちらに近づいて、また突き飛ばされる



壁に背中がぶつかると、足の力が抜けてそのまま座り込む



痛みに一瞬顔をゆがめて、視線をあげるとヴェスパーが私に向かって銃を構えていた。そして、階段を上がる足音は、もうすぐ側まで迫ってきている



「宮咲チャンさぁ、やっぱもう死んじゃおっか」



そう呟いて、引き金に指がかけられた時、扉が開く大きな音がして、待ち望んでいた声が聞こえた



「ヴェスパー!!」



零くんだ



息を切らした零くんは、何か話しているヴェスパーを無視して私に駆け寄った



「よかった、間に合った…」



「1時47分…ちょっと早いな。ねぇバーボン、昔話でもしない?」



私と2人の時に見せた剣呑な雰囲気から一転して、銃を下ろしたヴェスパーはいつも通りの軽い口調でそう言った



「スコッチ…いや、諸伏景光。覚えてるよね?」



久しぶりに聞く幼馴染の名前を聞いた瞬間、零くんの顔が一気に強ばった

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ゆず(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます!最終話までお楽しみ頂けるように頑張りますのでよろしくお願いします!! (2022年6月4日 22時) (レス) id: f7fb394352 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 見ててワクワクドキドキしてます!!今後の展開がとっても楽しみです!これからも頑張って下さい! (2022年5月31日 1時) (レス) @page2 id: f8ea42caba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2022年5月27日 7時

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