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「A…」
『ヒロくん、助けてくれたんだね。見守ってるって言葉、嘘じゃなかったんだ…!』
「降谷くん、僕達は1度帰るよ。あとはゆっくり宮咲さんと過ごしてくれ」
「では自分も。お二人共、本当にお疲れ様でした」
気を利かせた4人がゾロゾロと病室を出るのを見送って、泣き続けるAの背中を擦りながら声をかけた
「A。ヒロはいつ、見守ってるって君に言ったんだ?」
『私があのビルに連れて行かれた日と、さっき目覚める直前まで見てた夢。そこに、ヒロくん達がでてきたの』
その言葉に、ハッと息を飲む。Aが攫われた日と言えば、僕の夢にもアイツらが現れた日じゃないか
「Aが攫われた夜、ヒロは何て言ってた?」
『ゼロが、きっと助けてくれるから。オレたちが4人でAとゼロを見守ってるから絶対大丈夫だって。萩原くんや松田くん、伊達くんも一緒だった』
全く、アイツらは…
『ふふっ、零くんまで泣いてるの?』
気づかないうちに僕の頬には涙が伝っていた
「アイツら、同じ日に僕の夢にも出てきたんだよ。僕なら大丈夫だから、堂々としてろよって励ましてくれた」
『そっか…きっとみんな、私達のことずっと見ててくれたんだね。こんな事になる前から、ずっと』
助けられてばっかりだな、と呟くと、頷いたAはそっとこちらに手を伸ばして、僕のことを抱きしめた
『…零くん。生きててくれて、ありがとう』
「え…?」
『7年ぶりに会えたあの日から、零くんずっと、辛そうだった。苦しそうで、何かを我慢してるみたいで。いつかまたいなくなっちゃうんじゃないかって、本当はずっと不安だった』
僕の肩に顔を埋めながらぽつりぽつりと語るA。その頭の上に顎を置き、小さな背中に僕も腕を回す
「不安にさせて、ごめん。でもこれからはずっと一緒だから」
気づけば僕の涙は止まっていた。未だに泣き続けるAの背中を優しく撫でていると、僕の体に回された腕の力が次第に弱まっていった
呼びかけても返事はなくて、微かな寝息が聞こえた
「…おやすみ。ゆっくり休んでくれ、A」
ベッドにAを横たわらせ、僕も椅子の上で目を閉じた
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ゆず(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます!最終話までお楽しみ頂けるように頑張りますのでよろしくお願いします!! (2022年6月4日 22時) (レス) id: f7fb394352 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 見ててワクワクドキドキしてます!!今後の展開がとっても楽しみです!これからも頑張って下さい! (2022年5月31日 1時) (レス) @page2 id: f8ea42caba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2022年5月27日 7時