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「A!!」



『あ、れ……れい、くんだ』



「先生、良かった…!」



「降谷くん、ドクターを呼びましょう」



キョトンとするAを強く抱きしめていると、優作さんと有希子さんが医者を呼ぶため病室を出た



「心配したんだぞ、A、なかなか目覚めないから」



『あ、はは。ごめん。ずっと、夢でも見てたみたい』



いつもと変わらないように柔らかく微笑むAを見て、酷く安心した



「宮咲さん、おはようございます。私、担当医を務めさせていただいている田中と申します」



工藤夫妻に連れられた医師は、Aに挨拶をしながら診察を始めた







「うん、特に異常はなさそうですね。今日はもう遅いので、詳しい検査は明日行います。ゆっくり休んでください」



『ありがとうございます』



医師が出ていった病室は、ほんの一瞬静まり返った。しかし、そんな静寂をものともせず、コナンくんが口を開いた



「安室さん、A先生。聞きたいことがあるんだ」



その声色は先程僕を問い詰めた時のような冷たさは微塵もなく、気遣いの優しさで満ちていた



「2人はどうやってあのビルから降りてきたの?僕たちが降りた所はとてもじゃないけど降りられなかったよね」



『あ、それ私も気になってた。私達、降りる時に不自然に燃え残ってる部分から飛び出したんだけど、どうしてあそこだけ燃えてなかったんだろう』



零くんわかる?と僕を見上げるAの頭を撫でて、ゆっくり語り出す



「あそこは、ヒロが。諸伏景光が亡くなっていた所なんだ」



「諸伏が…!?」



いきなり飛び出したかつての部下の名に戸惑う風見。コナンくんや工藤夫妻は知らぬ名に首を傾げていた



Aは、静かに大きな目を見開いていた



「彼は僕と同じように公安から組織に潜入していた、僕たちの幼馴染さ。彼はヴェスパーに正体をリークされて、あの場所で自らの命を絶った…拳銃を使ってね」



僕の話の意図を汲んだのか、優作さんはなるほど、と頷いた。すぐ近くにいるはずのAの顔は、何故か見ることが出来なかった



「その時に飛び散った血痕が、昨日は消えていた。恐らく上からペンキでも重ねたんだろう。そして…」



「そのペンキは、きっと耐火素材だったんだね」



そういう事だ、と頷くと、その場にいた全員が、柔らかい表情を浮かべていた



1度Aの頭を撫でる手を止め、顔を覗き込む。大きなその瞳からは、大粒の涙が溢れていた

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ゆず(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます!最終話までお楽しみ頂けるように頑張りますのでよろしくお願いします!! (2022年6月4日 22時) (レス) id: f7fb394352 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 見ててワクワクドキドキしてます!!今後の展開がとっても楽しみです!これからも頑張って下さい! (2022年5月31日 1時) (レス) @page2 id: f8ea42caba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2022年5月27日 7時

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