ファイナルステージ 1 ページ23
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「A、そろそろ控え室戻りなさいねー」
「大丈夫です！時間内には戻ります」
控え室や機材室が立ち並ぶ廊下を駆け足で歩いていると、顔見知りのスタッフに声を掛けられる。
私はいい子らしい返事をしたものの、足を動かすスピードを落とさず先へと進んだ。
ファイナルが催行される会場裏を駆け巡る私は、綺麗にセットされた髪の毛が崩れるのも、久しぶりに腕を通した制服が乱れるのも気にならなかった。
本番の放送が近づくにつれて、忙しなく動くスタッフの間をすり抜ける。視線を彼方此方に動かしても、彼の姿は見えない。
私は、たった1人の少年を探していた。
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「マシューヒョン？ヘアメイクが終わってからは見かけてないなぁ」
「マシュー？お手洗いにでも行ってるんじゃない？」
衣装に着替えた直後、控え室に戻って近くにいたスンオンやジウンに尋ねてみても、彼の居所はわからない。
別にマシューと何か約束をしていたわけではない。
ただ、なんとなく、話したいと思っただけだった。でもリハーサルまでは見かけていた彼の姿が、ヘアメイク後忽然と消えてしまっていた。
本番までまだ時間があるから進行に問題はないけれど、始まってしまってからだと遅いのだ。
今、ファイナルの幕が上がる前に彼に会いたかった。だから私は今、馴染みのない施設内を奔走していた。
「あ、」
視線を忙しなく動かしていると廊下の奥に階段が目に入り、直感的に体がそちらへ動いた。
スタッフが一人もいない階段を下ると、1番下の段に座り込んだ背中を見つけた。
私は階段を駆け降りて彼の正面に回り込み、目線を合わせるようにしゃがんだ。
『マシュー』
『あ、A...』
ゆっくりと顔を上げた彼の顔には、緊張の色が滲んでいた。
『ここで何してたの？』
『...特に何も。ただぼーっとしてた』
『そっか、そろそろ控え室に戻ったほうがいいんじゃないかな』
『うん』と力なく呟く彼は言葉とは反対に、身体はぴくりとも動かさない。
彼の膝の上に乗せられた両手に、私の掌を重ねた。そのまま握り締めると、マシューは怪訝な表情を浮かべながらも柔らかく握り返す。身長は然程変わらないのに、一回りも大きさの違うのが不思議だった。
私はマシューを真っ直ぐ見つめた。
目の前に映る彼は、誰よりも愛おしい弟のままだった。自然と目尻が下がるのを感じて、私は言葉を紡いだ。
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ダリア(プロフ) - 更新ありがとうございます！ (3月14日 22時) (
レス) @page25 id: 942cc2825c (このIDを非表示/違反報告)
さえ(プロフ) - 続きが見たいです😭 (12月30日 14時) (レス) @page24 id: 5c6fd2a21e (このIDを非表示/違反報告)
無添加 - 感動してます、本当に更新されてる、、生きててよかった、、、です。 (9月26日 2時) (レス) id: 5066827cbd (このIDを非表示/違反報告)
すいみ(プロフ) - ダリアさん» こちらこそ嬉しいコメントありがとうございます💘この亀更新なのに待っていただけたなんて嬉し過ぎます😭あと少し、最後まで見守っててください✨ (9月17日 23時) (レス) id: 112579e6aa (このIDを非表示/違反報告)
ダリア(プロフ) - 更新ありがとうございます😭ずっと続きが気になっててほんとにありがとうございます😢😢 (9月11日 17時) (レス) id: 942cc2825c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すいみ | 作成日時：2023年6月16日 23時
