Please (not) Pick Me 3

Interlude -休暇期間- 1 ページ39

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凡そ2週間ぶりの我が家は、少し埃っぽさを感じた。
陽当たりの悪さと相まって、足を踏み入れると悪い意味で生活感が無くなっていた。


アーティストバトルを終え何回目かの休暇期間に入ると、私は真っ先に家に帰ることにした。1週間後にはまた何かの収録が予定され、その更に数日後はファイナル前の最後の生存者発表式が控えていた。


その前に、少し一人になりたかった。
あそこにいると引っ張られそうだったから。


どんなに記憶から追い出そうとしても、ステージから見た光景が頭を支配する。
本番中は目に灼き付けておきたいと思った景色だったけれど、ステージを降りるとふと我にかえったのだ。


自分は、ここにいるべき人間ではない。
それなのに、私はきっとあの瞬間、ステージに立つことに喜びを感じてしまった。


私は、幸せという感情を享受できる人間じゃないのに。


だから私はアーティストバトルを終えると、すぐさま次の日には荷物をまとめ宿舎を出た。
この部屋に戻ってきたら、過去の自分に戻れるんじゃないかという淡い希望を持って。


結局私は、自ら過去に囚われることに安心しているみたいだ。
高校生の時から時間が止まったまま、そこから踏み出すことを恐れている。


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休暇期間中は、いつもと変わらず溜めていた家事だったり、大学に復学した時のための勉強を片付けていた。
ひとつ、今までの休暇期間と違うのは、カトクの画面を開く頻度が増えたことだった。


合宿を終えたらもう二度と会わないだろうと思って頑なに連絡先の交換を拒否していたのだけれど、スンオンをはじめとした数人の押しが強く、遂に折れて連絡先を交換してしまった。

休暇が終わったら会うのだから、交換したとしても連絡を取ることはないだろうと思っていたが、その予想は間違っていたらしい。
特に用事がなくても連絡をくれる子もいるし、遊びにも誘われる。出不精だから遊びは気が乗らないが、同世代の子とこのような交流をするのはあまりにも久しぶりで不思議な感覚がしていた。


一通り大学の勉強を終えてスマホを見ると、カトクの通知が溜まっていた。あまりスマホを見る癖がないから、放置して気づいたら通知が溜まるというのが休暇中の常だった。

全て一気に目を通す気にはなれず、私は一覧の一番上にあったユジンとのトーク画面を開く。ユジンからのカトクは応援広告を見に行きたいという内容だ。同じ事務所のお兄さんたちと行くよう返したのに、中々粘り強い。

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