アーティストバトル 21 ページ32
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ぶらぶらと会場内を回っていると、壁の飾り付けでどうしても気になる所があった。手を伸ばしてみるが、私の身長ではバルーンの底にわずかに触れることしかできない。
ちょうど手持ち無沙汰にしていたシュアイボが横を通り、呼びかけた。
『シュアイボー、僕じゃ届かないから助けて』
『あ、うん、どれ？』
私が指差すと、彼は軽々とバルーンを手に取る。さすがだ、ここまで身長が高いと見えている景色も違いそう。
彼はバルーンの位置を模索しながら、少し寂しげな表情で呟いた。
『これさぁ、家族が集められる感じだよね』
『シュアイボもそれ思った？実は僕も』
『俺の家族来てる気しない』
『家族が来れなくてもジンシンが来てくれるよ』
『えー、そうかな』
ジンシンの名前を出すと、シュアイボは不安げな表情が消え途端にケラケラと笑い出す。よっぽど彼のことが好きなんだな。
シュアイボと雑談を交わしているうちに開始の時間が近づき、練習生は舞台裏へと集められた。
そのうち会場内に入ってくる足音が響き始め、幕の向こう側に多くの人の気配がする。ギュビンとハンビンの司会に反応は無く、練習生たちは困惑して顔を見合わせた。
しかし幕が上がると、私たちは一斉に拍手で迎え入れられた。観客の正体を知った練習生たちは嬉しさと驚きが綯交ぜになった声を上げる。
「お母さん...」
斜め前に立つユジンの呟きが耳に入った。私の予想は当たっていたみたいだ。
両隣のスンオンもジウンも自分の家族を見つけたようで、屈託ない笑顔で手を振っている。
「(マシューのお母さんかお姉さん来てるかなー)」
首を伸ばして観客席を探るが、私の記憶に辛うじて残っている顔は見当たらない。
スケジュールが合わなかったのか、番組側が招待しなかったのだろうか。カナダから来るとなると飛行機代が馬鹿にならないもんな。
それにしても、家族との再会を喜ぶ皆の様子を見ていたら、ショーケースの前に感じていた不安など何処かに霧散していた。
彼らの浮かべる嘘偽りない表情に釣られ、私も胸が温かくなる。手を振る相手がいなくても、私も自然と口角が上がるのを感じた。
「Aヒョン、お父さんかお母さんいた？」
だから、スンオンからの問い掛けにも、私は卑屈にならずに答えられた。
「ううん、来てないみたい」
「そっか、残念だね」
「...そんなことないよ。皆が嬉しそうだからそれでお腹いっぱい」
建前なんかじゃなく、私の飾らない本心だった。
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すいみ(プロフ) - ぴさん» コメントありがとうございます🫶💕 一気読みして頂けたなんて嬉しい限りです🥰更新頑張ります！！ (6月12日 21時) (
レス) id: d55745dbd9 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - きゃーーーーー！！てんかいがーーーー！！ハンビンーーーー！！！きゃーーー！ここまで一気見しちゃいましたーーー！！！続きが…早く…気になります…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(語彙力) (6月12日 0時) (レス) @page48 id: d5c63dc535 (このIDを非表示/違反報告)
すいみ(プロフ) - なのこ5546さん» 嬉しいコメントありがとうございます😭💕 とっても励みになります！中々進まないですが見守って頂けたら嬉しいです🫶 (5月23日 22時) (レス) id: 3559a141aa (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 最新話の主人公ちゃんがスンと冷え切った感じ最高です！！重すぎないシリアス展開好きなのでワクワクしながら読んじゃいました（笑）更新は大変だと思いますが頑張って下さい！応援しています💓 (5月23日 20時) (レス) @page30 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
すいみ(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» 嬉しいコメントありがとうございます🥰ご指摘のところ完全に書き忘れており、最新のはユジン目線です💦お伝えいただき助かりました、ありがとうございます🫧 (5月20日 19時) (レス) id: 3559a141aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すいみ | 作成日時：2023年5月3日 15時
