アーティストバトル 19 ページ30
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スンファンに便乗して隣のヒロトもおでんを渡してきた、しかも明らかに食べかけのやつ。
スンファンをひと睨みすると、「おーこわいこわい」とスンファンに遇らわれ、「ヒョンそれただの上目遣いだよ」と斜め前に座るゴヌクに茶化された。
私がサラダに手を付けると、箸を置いてもう食べる気がないらしいスンファンがニヤニヤしながら話しかけてきた。
「昨日スタッフに歯向かって台本変えさせたって聞いたぞ。お前もやる時はやるんだな」
「...何の話?」
「あれだよ、残らせるメンバーを選ぶ基準。一緒にやりたくないメンバーからコンセプトに合うメンバーに変えさせたって」
「いや、そんな大したことじゃないんだけど...」
「何その話、俺知らない」
ゴヌクが身を乗り出して尋ねると、スンファンはまるで当事者のように語り始める。
特別なことはしていないのに、得意げに話されると戸惑ってしまう。強盗犯を押さえつけた訳じゃないんだから。
「ウンギが感激してた、やっぱ推すならAだって」
「...だめだよ、僕なんか推したら。自分勝手で、輪を乱して、でも自分は間違ってないって思ってる。人間として一番厄介なタイプ」
「お、遂にAも自己主張始めたのか。いいことだ」
「ヒョンなんかやらかしたの?」
「ウキウキすんなバカゴヌク...」
「喧嘩?喧嘩した?」
「ヒロトも便乗しないで...」
まったく、他人事だと思ってるのがバレバレだ。
実際彼らには少しも関係が無いから当たり前なんだけど。
目を輝かせるゴヌクとヒロトの期待に応える気は起きず、私は黙々と目の前の食事を咀嚼する。
私が話す気がないのを悟ったスンファンは、笑いながら話を続けた。
「お前が間違ってないって思ってんなら、それでいいんじゃねえの?人間誰しも譲れないものってあるだろ」
水の入ったコップを掴もうとした手は空中で止まり、私は目をぱちくりとさせて正面に座るスンファンを見つめた。
「...何だよその顔」
「いや、ヒョンが慰めてくれるのが意外で」
「どう言う人間だと思ってたんだよ」
「茶化すか弄り倒されるかなって」
「お前なぁ...でも今の慰めとかじゃなくて、本気で俺はそう思ってる」
「...ヒロト、スンファニヒョンって優しいんだね」
「おい、A舐めてんだろ」
自然と笑い声が溢れる。
息苦しさを生み出していた喉のつかえが溶けていく感覚がした。
「ありがとう、スンファニヒョン」
「おう」
もう少し、頑張ってみようかな
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すいみ(プロフ) - ぴさん» コメントありがとうございます🫶💕 一気読みして頂けたなんて嬉しい限りです🥰更新頑張ります!! (6月12日 21時) (レス) id: d55745dbd9 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - きゃーーーーー!!てんかいがーーーー!!ハンビンーーーー!!!きゃーーー!ここまで一気見しちゃいましたーーー!!!続きが…早く…気になります…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(語彙力) (6月12日 0時) (レス) @page48 id: d5c63dc535 (このIDを非表示/違反報告)
すいみ(プロフ) - なのこ5546さん» 嬉しいコメントありがとうございます😭💕 とっても励みになります!中々進まないですが見守って頂けたら嬉しいです🫶 (5月23日 22時) (レス) id: 3559a141aa (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 最新話の主人公ちゃんがスンと冷え切った感じ最高です!!重すぎないシリアス展開好きなのでワクワクしながら読んじゃいました(笑)更新は大変だと思いますが頑張って下さい!応援しています💓 (5月23日 20時) (レス) @page30 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
すいみ(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» 嬉しいコメントありがとうございます🥰ご指摘のところ完全に書き忘れており、最新のはユジン目線です💦お伝えいただき助かりました、ありがとうございます🫧 (5月20日 19時) (レス) id: 3559a141aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すいみ | 作成日時:2023年5月3日 15時