Please (not) Pick Me 3

アーティストバトル 12 ページ23

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「もー、A。そんな顔しないで」


ソウォンはいつだって優しい。今のこんな状況でさえ。
彼は私の手を握りしめて、目を細めていつもの笑顔で私に囁きかけた。


「俺は、Aがここに残って嬉しいよ」


私の申し出がジウンにより却下されたあと、テレを除くメンバーによる投票の結果、ハンビン、ジウン、マシュー、スンオン、ユジン、そして私がここに残留することになった。


「...ごめ」

「謝るのは無し、Aは選ばれて残ることになったんだから。皆を尊重するなら謝っちゃダメだよ」

「...うん、そうだね」

「Aはこの曲、本当に似合ってるよ。それが皆の答えなんだし、だから自信持って」


スタッフの提示した「一緒にステージを披露したくないメンバーを選ぶ」という投票基準を拒否して、私たちは「この曲のコンセプトに合うメンバー」を基準として投票を行った。
私はオリー、ユジン、タクト、スンオン、ウンギ、マシューを残留メンバーとして挙げた。嘘偽りなく、この曲のコンセプトを考慮するなら、年齢が若くて愛らしいこのメンバーが最適だと思ったから。

だから、他のメンバーから私の名前が挙がることに対して疑問を抱かざるを得なかった。
もしかしたらジウンとのやりとりで、皆に気を使わせてしまったのかも知れない。そう思うと一層やり切れない気持ちだった。

私の名前が呼ばれる度に、どうか止めてと心の中で呟いていた。


「じゃあ、またね」


部屋を出ていったタクト、オリー、テレに続いてソウォンも扉を開けて部屋を去った。
ソウォンが出ていった扉を見つめると、背後から肩を叩かれた。


「Aヒョン」

「...ウンギ」

「ヒョンみたいな華奢で弱そうな人にSuperchargerは似合わないから！僕はどんなコンセプトでも似合わせちゃうけどさ。だからヒョンはここでいいんだよ、ね？」


昨日からのデジャヴを感じた。また、私が勇気付けられる側に回っている。


「...うん、ウンギならSuperchargerもSwitchもばっちりだね」

「でも、ヒョンにこのコンセプトに合うって選んでもらえて嬉しかったよ。ありがと」


そう言うとウンギは軽く私の体に抱きついて、私も恐る恐る背中に腕を回す。


「今日はちゃんと寝てそのブサイクな顔早く治すんだよ」


そう冗談めかして言い残すと、ウンギも部屋を去った。

メンバーが半分になってしまった部屋は、一気に空っぽになった感じがした。

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