第2回生存者発表式 4 ページ19
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「うちのチーム、みんな生き残ったから明日メンバーの調整するだろうね」
「調整って?」
「人数が少ない所にメンバーが移るんだよ」
「テレなんでそんなこと知ってるの」
「今までのオーディションだとそうだったから。それに、11人でSay My Nameはできないでしょ?」
「...移るって、くじとかで決めるの?」
「ヒョンってばほんと...自分達で放出するメンバーを投票で決めるんだよ」
テレの言葉の意味を理解すると、次に続ける言葉が見当たらなかった。恐る恐る疑問を投げかける。
「放出って...この人に出てほしいって言うのを投票して決めるの?」
「うん、そうじゃないかな。自分から移りたいって人が5人出てこなければ」
自分から移るという選択肢もあるのか。
それでも、新しく曲を覚え直す必要があるし、よっぽどスキルの高い子でなければ、移動を希望するなんて自ら茨の道に進むようなものだろう。
「そういう子、いるのかな。今から練習し直すの大変なのに」
「...俺は、移ることを考えてる」
「え、ほんとに?」
私が問いかけると、暗闇の中の影が頷いたように見えた。
「何でか聞いてもいい?」
「ここのチームのままだと、自分の良さが出せないと思ったから。皆の能力が高すぎて、俺は埋もれちゃう」
「そんなこと...」
テレの思いもよらない考えを知って黙り込んでしまうと、テレは「おやすみ、ヒョン。ちゃんと寝るんだよ」と話を切り上げて体を反対に向ける。ハンビンの心配性がテレにも移ったみたいだ。
私も「おやすみ」と返したけれど、明日のことを考えると一向に眠気は私の元に現れてくれなかった。目を瞑っても頭だけは冴えている。
部屋に戻ってきたオリーも、私より先に夢の中に落ちていったらしい。二人の寝息を聞きながら、眠りにつけない私は暗闇の一点をただ眺めていた。
私が移れば良いじゃない
何にそんなにしがみついているの
みんなの邪魔をしたらだめでしょ
生き残りたいわけじゃないよね
夢を見ているわけじゃないよね
そんな資格、無いんだから
もう一人の私が一方的に攻め立てると、気持ちは段々と堕ちて行くのを感じる。
自分の良くない癖だと分かっていながらも、そうやって自らを苛む方が楽だった。
新しい感情なんて知りたくない。
だから心の奥底から芽を出そうとしている、私の本音には気付かないふりをしていた。
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すいみ(プロフ) - ぴさん» コメントありがとうございます🫶💕 一気読みして頂けたなんて嬉しい限りです🥰更新頑張ります!! (6月12日 21時) (レス) id: d55745dbd9 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - きゃーーーーー!!てんかいがーーーー!!ハンビンーーーー!!!きゃーーー!ここまで一気見しちゃいましたーーー!!!続きが…早く…気になります…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(語彙力) (6月12日 0時) (レス) @page48 id: d5c63dc535 (このIDを非表示/違反報告)
すいみ(プロフ) - なのこ5546さん» 嬉しいコメントありがとうございます😭💕 とっても励みになります!中々進まないですが見守って頂けたら嬉しいです🫶 (5月23日 22時) (レス) id: 3559a141aa (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 最新話の主人公ちゃんがスンと冷え切った感じ最高です!!重すぎないシリアス展開好きなのでワクワクしながら読んじゃいました(笑)更新は大変だと思いますが頑張って下さい!応援しています💓 (5月23日 20時) (レス) @page30 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
すいみ(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» 嬉しいコメントありがとうございます🥰ご指摘のところ完全に書き忘れており、最新のはユジン目線です💦お伝えいただき助かりました、ありがとうございます🫧 (5月20日 19時) (レス) id: 3559a141aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すいみ | 作成日時:2023年5月3日 15時