アーティストバトル 7 ページ14
スンオンside
「スンオナー、Aヒョン見た?」
朝、いつもより目覚めが悪くて重い頭を振りながら廊下を出ると、手に何かを持ったソウォンとウンギに出会した。
目を凝らすと、彼らの手にあるのが自撮り用のカメラだと分かった。何かの撮影だろうか。
「見てないけど、ヒョン朝早いからもう起きてどっか行ってるんじゃない?」
「ちぇーっ、Aヒョンの寝起き撮り高あると思ったのに」
「ハンビニヒョンたちの部屋行っちゃおーっと」と言ってウンギは許可を得る様子もなくハンビン達の部屋に突入していった。
彼らに起こされる前に目覚めてよかった、無防備な寝起きの姿なんてあまり人に見せたくないものだから。
冴えない頭のまま食堂に行ってみると、まだ時間が早いからか食事を取る練習生はまばらだった。そしてそこにAの姿は見当たらない。
「(練習室かな?)」
Aが行く所なんて、他にはそこしか思いつかなかった。
今日はなんとなく食欲が沸かなくて、朝食を取らずに食堂を出る。そして足は自然と練習室に向かっていった。
「あ、やっぱりいた」
「お、スンオナー、おはよー」
Say my nameチームに与えられた練習室の扉を開けると、中にはやはりAがいた。スタッフもまだ来てないのか、彼一人が占領していた練習室はやけに広く感じた。
ぽつんと部屋の真ん中に座っていたAに近寄る。彼の手には曲が流れ続けるタブレットと、歌詞が書かれたプリントが握られていた。
「ヒョン何してたの?」
「ラップのところ歌詞確認してて、ちょっと響き悪いから書き換えたほうが良いんじゃないかって」
「どこ?」
「ここ...さっき考えたのがこの下の方なんだけど」
「おー、確かにこっちのが響きいいかも」
「ほんと?後でジウンヒョンに聞いてみようかな」
ふふふ、と嬉しそうな顔で紙に何かを書き込むAはすごく楽しそうだ。
今までは飄々と練習を熟すAの姿しか目に入っていなかった。それが偶々そう言う場面だっただけなのかもしれないが、だからこそ目を輝かせてこのミッションの練習に取り組む様子は新鮮だった。
彼のまっすぐな瞳は、おもちゃで遊ぶ子供のように純粋無垢だった。
Aの横顔をただ隣で眺めていると、不意に彼が言葉を発した。
「スンオン、何かあった?」
Aの問いかけに、キュッと心臓が掴まれた心地になった。
声が震えないように、小さく深呼吸をしてから返事を絞り出す。
「...なんで?」
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すいみ(プロフ) - ぴさん» コメントありがとうございます🫶💕 一気読みして頂けたなんて嬉しい限りです🥰更新頑張ります!! (6月12日 21時) (レス) id: d55745dbd9 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - きゃーーーーー!!てんかいがーーーー!!ハンビンーーーー!!!きゃーーー!ここまで一気見しちゃいましたーーー!!!続きが…早く…気になります…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(語彙力) (6月12日 0時) (レス) @page48 id: d5c63dc535 (このIDを非表示/違反報告)
すいみ(プロフ) - なのこ5546さん» 嬉しいコメントありがとうございます😭💕 とっても励みになります!中々進まないですが見守って頂けたら嬉しいです🫶 (5月23日 22時) (レス) id: 3559a141aa (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 最新話の主人公ちゃんがスンと冷え切った感じ最高です!!重すぎないシリアス展開好きなのでワクワクしながら読んじゃいました(笑)更新は大変だと思いますが頑張って下さい!応援しています💓 (5月23日 20時) (レス) @page30 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
すいみ(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» 嬉しいコメントありがとうございます🥰ご指摘のところ完全に書き忘れており、最新のはユジン目線です💦お伝えいただき助かりました、ありがとうございます🫧 (5月20日 19時) (レス) id: 3559a141aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すいみ | 作成日時:2023年5月3日 15時