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ep.44 ページ44
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「……A。
俺もお前が、好きだよ。」
「でも、俺はお前の「好き」と
同じ好きは、返してやれない。」
「……うん。」
「Aのこと、本当に大切なんだ。
妹みたいに。家族みたいに。
「恋愛」というくくりなんかにしたくないくらい。
俺はお前のことが、大切なんだ」
和くんの真っ直ぐな瞳を見ながら、頷く。
「俺は、お前の王子様にはなれない。
きっと……お前の王子になるべき人は、
他にいる。
たぶん、もうすぐわかる。」
「……そんな人、現れるのかな。」
「もう、出会ったりしてるかもな。」
……そんな人、いるのかな。
わからない。わからない、けど。
例え、王子様なんて現れなくても。
和くんが、傍にいてくれる。
家族として。
それだけで、十分な気がするよ。
振られたことは、悲しい。
心の底から悲しい。
けど、
ねえ、やっと。
「やっと、和くんと家族になれる気がする。」
「……そうだな。」
ねえ、でもまだちょっと、悲しいから。
感傷に、浸らせてね。
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作者名：えり | 作成日時：2017年9月19日 22時
