ep.39 ページ39
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「淳太先生から聞いたと思うけど、
わたしは3歳の頃に両親を事故で亡くしてるんだ。
そこから、お父さんの方のおばあちゃんがわたしを引き取ってくれて。
小学生の頃、和くんにも出会った。
わたしにはお父さんもお母さんもいないけど、
でもね、寂しいと思ったことはあんまりないの。
おばあちゃんがいてくれて、
そしてなにより、
和くんがいてくれたから。」
「和くんはわたしなんかのために
自分の青春を犠牲にして、いつも一緒にいてくれた。
初めてのお祭りも遊園地も、わたしが行きたいって
言った場所は全部、和くんが連れてってくれた。
わたしが欲しいって言ったおもちゃも洋服も
和くんがバイトしたお金で買ってくれた。
わたしのこと、大切にしてくれた、でも」
声が震える。
小瀧くんは何も言わずに、
手を握る力を強める。
「……お前は俺に依存してるだけだって。
お前もう俺から離れろって。
言われちゃった………っ」
何度涙を流せば気が済むんだろう。
そう思っても、ぼろぼろと零れる涙を
止めることができない。
「一番、一番大切なのに……
大好きなのに………っ
お前はあの時出会ったのが俺じゃない人間でも
きっと同じように好きになってたって………
そんなわけない、和くんだから好きに決まってる……っ
それなのに………っ」
「もう、ええよ」
そう言って小瀧くんが、わたしの肩を抱き寄せる。
ふわっと香る、小瀧くんの甘い香り。
その香りと小瀧くんの温もりに、思わず全てを預けたくなる。
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作者名：えり | 作成日時：2017年9月19日 22時
