ep.15 ページ15
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ドアを開けた瞬間ふわっと広がるコーヒーの香り。
この香りが大好きだ。
「和くん。お仕事おつかれさま。
ちょっとだけ、ここにいてもいい?」
「もちろん。
今日はもうすぐお店閉めるから、
一緒に帰ろう。送っていくから。」
「本当に?嬉しい!」
和くんと一緒に帰れるなんて、
なんて幸せな日なんだろう。
そう思いながら、一番端っこのカウンター席に座る。
和くんは、このカフェのオーナーだ。
メインはコーヒーで、あとはちょっとした
デザートとか軽食がある。
『Casa d' Angela』
という店名は、和くんが考えてつけた名前だ。
「天使の住処」という意味らしい。
どうしてこの店名にしたのか聞いたことがあるけど、
未だに教えてくれない。
店内は白を基調としていて、
観葉植物も置いてあったりする。
カウンターなどは深い茶色の
漆がかった木で出来ていて、
その触り心地は気持ちいい。
小さなお店ながらも、居心地が良くて
時間を忘れていつまでもいられるような。
和くんが数年前から守ってきたお店。
そしてわたしにとっても大事な、お店なんだ。
そして、そのカウンター席の端っこは、
「ここはお前の席」って和くんが言ってくれた、
わたしだけの特等席。
他のお客さんはこの席に通さないらしい。
そんな特別扱いが嬉しい。
さっきも保健室でコーヒーを飲んだけど、
今も和くんが淹れてくれたコーヒーを飲んでる。
コーヒーに詳しいわけではないけど、
和くんのコーヒーは酸味も温度も丁度良くって。
とにかく飲みやすい。
常に人に気遣って、ぶっきらぼうだけど優しい。
そんな和くんらしいコーヒーだなあと思う。
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作者名：えり | 作成日時：2017年9月19日 22時
