ep.11 ページ11
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わあ。見ちゃった。
しかも男の子と目が合ってる。気まずいなあ。
なんて思っていると、女の子の方も
わたしを見てくる。
さらに気まずい。
見ちゃってごめんなさいなんて意味も込めて
軽く会釈して中庭の前の廊下を通り過ぎる。
なんだか申し訳無いことしちゃったなあと思ったけど、
それよりもなんだか恥ずかしい気持ちもある。
それにあの男の子、見たことあるなあなんて思いつつ、
俯きながら教室に戻る。
「もう、A。また保健室行ってたの?
行くなら私も連れてってよ」
「凜ちゃん。ごめんね」
教室に戻ると、いつもAは私を置いていくんだから…と
少し呆れ気味の凜ちゃん。
わたしはといえば、さっきの光景を見てしまったせいか
なんだかいつもと様子が違うらしく、
凜ちゃんが「A?なんかあった?」って聞いてくる。
やっぱり凜ちゃんには誤魔化しがきかないなあと思ったので
自分の席に着いてさっき見たことを凜ちゃんに話してみる。
「この学校でそんなことする男といえば、1人しか
思い当たらないけど…ちなみにどんな感じの人だったの?」
「えっと、髪は茶髪でふわふわしてて、
目はくりくりしてたかなあ。あ、あと身長がすごく高かった気がする」
そう言うとやっぱりあいつか…と目頭を押さえながら
うなだれる凜ちゃん。
凜ちゃんはなんだか、彼を知っているらしい。
「ほら。噂をすれば。」
凜ちゃんの指さす方に視線を向けると、
さっきの高身長の男の子と何人かの女の子が彼の周りを取り巻いてる。
ああ、見たことあるなあと思ったのは、
同じクラスの人だったからか。と自己解決。
「小瀧望。自然と女が寄ってくるらしくって
いつも取り巻きがいる。あいつも来る者拒まずだから
女と常に一緒にいる感じ。
というか、望のことも知らなかったのねA。」
「うん、あんまり男の子と話さないからクラスの人のことも
わかってなかった」
と言うと、Aは本当に和也さんのことしか興味ないもんね…と
凜ちゃんが言う。
小瀧くん?のことを望、なんて親しげに呼んでるから知り合いなのかな?と
思って聞いてみると、凜ちゃんと小瀧くんは同じ中学だったらしい。
「A?望にだけは絶対近づいちゃだめ。わかった?」
と謎に念を押される。
「近づくも何も、接点もないから関わらないとおもうよ」
と言うと、Aは可愛いから…変な虫がつかないか
心配だわ…と呟く凜ちゃん。
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作者名：えり | 作成日時：2017年9月19日 22時
