【神童拓人】花を咲かせる〜ローダンセを携えて〜【イナGO】 (ページ5)

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「花咲は変わらないな」

「え〜？そうかな？」

そう言ってくすくすと笑う花咲。

彼女、花咲Aは神童の…正確には神童と霧野と、小学校が一緒であった。

幼なじみと言えるほどの仲の深さではないが、中学に上がってからよく話すようになり、それなりに彼女とは仲がいい…と、思っている。

今も同じクラスで、彼女の席は霧野の前だ。
神童は霧野と対角線上にある席なため、正反対の位置だが。

「花咲のお父さんの具合は？」

「心配ありがとう。最近慣れてきたみたいで、レジにも立てるようになったの！」

この家は神童の家から雷門中学校へ行くために曲がる角にあり、1年の頃からよく顔を合わせていた。

神童が朝家を出る時間と、花咲が家の花を外に出し、開店の準備をする時間が被っており、毎朝挨拶は交していた。

だが2年にあがり、フィフスセクターによる管理がより重くのしかかっている上、キャプテンにまでなった神童は大切な朝練の前に世間話などに付き合う余裕はない。

花咲もお祝い用のお花などが求められることが多く、花屋にとって大切な初春の時期なため、朝から忙しなく店内外を動き回っていた。

学校ではもちろん顔を合わせるが、神童は基本霧野と行動を共にしているし、花咲も仲の良い友達と行動し、お昼も別だ。

そのため、こうして人の目がない、静かなところで時間をとってゆっくり話すのは久々だったのだ。