【ワンパンマン】セーラーガール【女主】 (ページ33)

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「家が壊れたくらいで何ピーピー泣いてやがんだ馬鹿野郎共が」

強く深い怒りが込められた声が辺りに響く。Aの怒りは凄まじく、まるで超能力の様に大気を揺るがしている。本気で怒っているのだ。サイタマは確信した。Aと知り合いになってからまだ1年と3ヶ月しか経っていないが、その期間でAが本気で怒っている所を見た事がなかったサイタマにとって、この光景は少しばかり恐ろしいモノだった。半分以上長髪で隠された、その髪の隙間から僅かに見えるAの瞳。充血しているのかわからないが、その瞳は僅かに紅かった

「……いいじゃねぇか。誰も死んでないんだからよ」

Aがそう言った時、サイタマは彼女が強く拳を握った事に気付いた

「でもな、私は全部失った。全部だ。家族は勿論友人も、何にも変えられない大切な親友も。それに比べてお前らはどうだ?ただ家を失っただけだろ。家とか、日用品は金で買えんだよ。でもな、命を買う事は出来ない。命は戻ってこない。家を失ったぐらいで、悲劇のヒロインぶるんじゃねぇよ」

彼女の言葉を聞いた彼等は、何とも言えない気持ちになった。言葉が、文句の声が出かかっているのに、喉元で引っかかる。喉が引き攣る。彼女の鋭い瞳に射抜かれた身体が、動かない。Aの覇気、または怒気に当てられた数名は立ったまま白眼を剥き失神してしまっている

その様子を見たAははぁと溜息をつくと、サイタマの左手を掴み「帰ろう」と短く呟いて、半ばサイタマを引きずるようにしながらその場を後にした

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「サイタマ……」
「ん?」
「……私が、この星に来た理由……覚えてる?」
「ん?……あぁ、確かお前は【パラレルワールド】【並行世界】から来たんだよな。そのAが元々いた並行世界は、宇宙人の攻撃でぶっ壊されて、何故かAだけ生き残ってこの星に落ちて来た。こんな感じだろ?」
「うん、そうだよ」
「…………何で急にそんな事聞くんだよ」
「……私、あの時、宇宙から自分の世界が壊されていくのを見て、決めたんだ。もし、私に次があるなら、次こそは大切な物を護ろうって」
「うぉっ、……おい抱き着くなよびっくりするだろ」
「……サイタマがどう思ってるのか、私にはわからない。傍迷惑だと思うかもしれない。それでも……私はお前を護りたい」
「……それ、本来は男が女に言う台詞なんだけどな」
「……」

Aはサイタマを抱き締めながら、こいつだけは何があっても護ると決めた

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