【ワンパンマン】セーラーガール【女主】

23撃目 ページ25

…………正直、私はヒーロー名簿に登録するつもりは微塵も無かった。ヒーローって言うのは困っている人を平等に助け、平等に希望を与えるもんだ。国に認められなきゃ、名簿に登録されなきゃヒーローじゃないなんて可笑しいじゃないか。……まぁ、私はそれでも構わないんだがね

例え誰も認めてくれなくても私は続けるさ。好きでやってんだから。金なんか要らないし、人気も要らない。ただ、私と同じ思いをして欲しくないだけ。……何も出来ず、ただ家族と親友が生キャラメルのように溶けていくのを見ていることしか出来なかった私のように、あんな悔しい思いをして欲しくないだけ

「A?ヒーロー試験会場に着いたぞ?」
「え、ぁ……あぁ」

サイタマとジェノスは会場の門の前で一向に足を踏み入れ用としない私を心配そうに見つめている。……うん、わかってる、すぐそっちに行くよ。ただ心の準備が出来てないだけだから

そして、私は一歩……ヒーロー試験会場へと足を踏み入れた

先程、私は【私と同じ思いをして欲しくないだけ】と言ったが……あれは嘘だ。うわっつらの薄っぺらい真っ赤な【ウソ】。……正直、私は他人がどうなろうと関係ない。目の前で他人が死んだとしても「あ、死んだ」その一言で終わると思うし、それ以上関与するつもりは微塵もない

なら何故怪人を殺す?

今、画面の前のあなたの脳内にはこの一文が大きく浮かび上がっているのだろう。理由はある。でも、本当に醜く汚い理由だ。理由は……

復讐のため

私の故郷を壊し、全てを壊した怪人を殺すため

そんな醜い理由なのだ

私と同じ思いをして欲しくないだけ

本心でも無い汚く真っ赤なウソを簡単に吐き散らす私。我ながら醜く愚で滑稽だ。眠っている時、夢の中で姿形が見えない何かが語りかけてくる

__もし、お前の星を壊した者を見つけて、復讐を終えたとする……だがその後はどうなる?__

私は答えた

__それで終わりさ、私はただ、【大切な物を目前で奪われた】怒りを、【大切な物を奪った者】にぶつけたいだけ。ただそれだけ、それで終わり__

だって、復讐を終えたとしても、奪われた大切な物はもう帰ってこない

……どうだよ、【優しく強い女子高校生(セーラーガール)】は、こんなにも真っ赤なウソで塗りたくられていたんだ


……こんな薄汚い本心を知られたら、サイタマもジェノスも……私から離れていってしまうのだろうか……?

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