53(坂田side) ページ17
.
俺の胸の中で嗚咽をもらしながら泣く彼女。
顔はくしゃくしゃになっていて、お世辞にも“綺麗”とは言えなかった。
でも、そんな彼女でも、
.
____自分を繕っている女達よりかはまだマシだと思った。
.
俺はそっと優しく彼女を抱き締め、何度も、何度も、「大丈夫」と云う信頼もクソもない言葉を彼女に掛けた。
.
.
.
「坂田くぅ〜ん。今日もいいよね?」
そう言って寄り添ってくる女。
キッツい香水に顔を歪みかけたが、何とかそれを堪え、僕は「勿論や!」と偽りの笑顔で答えた。
これが毎日となると、そりゃあもうストレスが溜まるわけで。
ヤ る時は女に容赦など無かった。
「待って」とか「速すぎる」とか言われても、
「(そっちから誘ってきたんだから我が儘言うなや)」
と思った。
そんな時に、彼女は現れた。
最初はただ、メガネを掛けた何処にでもいるような陰キャかと思ったがそうでもなく、彼女は兎に角自身の領地を荒らされるのが嫌いな子やった。
音楽プレーヤーをまーしぃが取り上げた時、その容姿とはそぐわない剣幕で、必死に音楽プレーヤーを取り返そうとしていた。
そしてその音楽プレーヤーが外に放り投げられた瞬間表情は一気に変わり、次は“絶望”と云うカオをしていた。
.
そのカオに僕は、驚くほどにゾクりと来た。
.
......そのカオは反則やって....
.
.
でも僕は、Aの泣く顔が嫌いだ。
ただ泣いてるだけで何もしてこないし、何より今は、誰かに“傷つけられた”ことによって泣いているのだから、尚更だ。
だが、Aをこうさせてしまったのは、僕にもある。
偉そうなことを言う資格なんて、僕にはない。
.
あの時Aに声を掛けなければ、こうやって泣きじゃくることはなかった。
あの時僕がAを追い掛けなければ、あの光景を見ることもなかった。
.
いや、
.
.
....結局Aは、泣いてしまう運命だったのかもしれない。
.
1229人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
入学早々、何故王子達に取り囲まれなければいけないのでしょうか[歌い手]
スクールカースト最下位の私が宝くじを2回当てたら最上位の最上位()になった件に...
もっと見る
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
椿 - 話の途中途中に出てくる作者の呟きに爆笑してしまいますw 坂田さんと同じくらい場の空気を壊していきますねw 面白いです (2019年5月8日 22時) (レス) id: d718df07c2 (このIDを非表示/違反報告)
なみ?(プロフ) - 華麗にフラグ回収!(69)(初コメがこんなのですいません) (2019年4月18日 7時) (レス) id: 5e2762a910 (このIDを非表示/違反報告)
朔平 - さき子さん» ヒロアカ良いっすよね〜(自己解釈)← (2019年2月10日 23時) (レス) id: 317b863832 (このIDを非表示/違反報告)
朔平 - ゆた@ラさん» 俺の場合、貴方と同じ馴れ馴れしい言葉をその人に掛けて良いのか分からなくて結局掛けずにそ〜っと見守ってたりしてます。でも作品を執筆する立場に立った今、少なくとも作者さんは応援されて嬉しいと思います。俺も実際嬉しいです。応援感謝致します! (2019年2月10日 23時) (レス) id: 317b863832 (このIDを非表示/違反報告)
さき子(プロフ) - はうっ!ヒロアカァッ (2018年9月18日 23時) (レス) id: c3e28606dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:朔平 | 作成日時:2018年8月18日 14時