私は、平穏で静かな高校生活を送りたいお嬢様です 2【安室透／降谷零】

No,89　降谷side ページ43

「...郵便物溜めすぎたか」

マンションについた時、最近はまったく開けなかった自分の住所と部屋番号が書かれたポストを久し振りに開いてみた。

すると開けた瞬間、バサァァと床に溜まっていたものが派手に散らかった。

はぁ、と溜め息をつきながらまとめて拾う。

ちゃんと確認しとけば良かったな。

部屋に行ったら要らないのは捨てるか。どうせ何かの勧誘だの、お知らせだのだろうし。

面倒くさい、そう思いつつも部屋までの階段を登り、誰もいる筈のない部屋に「ただいま」と声に出せば、光の点いていない暗闇の中に消えていった。

電気を点けた後、ソファに直行し身を預ける。

そのまま寝てしまいそうな勢いだったので、眠たい目を無理矢理開き、郵便物の整理をする事にした。



「これは...要らない。この葉書も。こっちは要るな」

一人ぶつぶつと呟きながら作業を進めていると一つの封筒が目に入った。

「...これは」

赤と青のラインで縁取られたエアメール用の封筒。

海外にメールをやり取りするような友人なんていたか?

疑問を浮かべながら裏に目を通した。



が、





「...は...?嘘だろ?...」



右下の宛先に俺の住所と名前。

一番下には Par Avion の文字。

そして＿＿




左上の小さく書かれた差出人の名前がローマ字でAと書かれているのを見て、眠気なんて一瞬で吹き飛んだ。

俺は急いで封筒を開け、中身を取り出した。

No,90　降谷side→←No,88　降谷side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す