私は、平穏で静かな高校生活を送りたいお嬢様です 2【安室透／降谷零】

No,88　降谷side ページ42

「降谷さん、お疲れ様です」

「ああ、お疲れ。風見」




＿＿Aが日本を発ってから半年。

今まで通り本庁で降谷零として仕事して、時には黒の組織のバーボン、喫茶ポアロの店員安室透の三つの顔を使い分ける日々は変わっていない。

目まぐるしく移り行く日々に、また一日が始まるのかと憂鬱になる時もあった。

だがこちらも何年も仕事をこなしているわけで、今更辞めるなんて選択肢は1mmもない。

それにここ最近は徹夜はせず、寝れている方だと思う。



なのに、


「最近何かありました?」

「...いや、特に何もないが」

「そう、ですか。最近意識がどこか別の所に向いているように感じたので」

この有り様だ。風見だけじゃない、他の部下も同じ事を感じているのだろう。

「そう見えたか。心配かけて悪いな」

「いえ。...お体は大切にして下さい」

「ありがとう」

自分でも気付かないうちに周りの人に心配をかけさせるなんて、上司失格だな。

今、自分がすべき事は何か分かっている筈なのに。




気付けば頭の中はAの事だけで。

半年しか経ってないのに元気でいるのかとか、いつ帰ってくるのかとか。

そんな事ばかり考えてる。



＿＿重症だな。今日は早く家に帰ろう。


そこからの準備は早くて。

俺は3分もしないうちに本庁から出て自身の車に乗り込み、自宅へと車を走らせた。

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