私は、平穏で静かな高校生活を送りたいお嬢様です 2【安室透／降谷零】

No,78 ページ32

『蘭ちゃんたち無理いって来てもらってごめんね』

「いいよー会えて嬉しいし」

何て嬉しい事を言ってくれるのだろう。

『...あれ、コナン君は』

辺りを見渡しても呼んだ筈の彼の姿は何処にもなかった。

「ごめん。コナン君に言ったら今日は用事があるって言ってて」

蘭ちゃんが申し訳なさそうに顔の前で手を合わせる。

『ううん、こっちも急に連絡入れちゃったし、コナン君にも申し訳ないよ』

そっか、仕方がないよね。

すると梓さんが三人分のアイスティーを持ってきてくれた。

「A、今日ここに呼んだって事は」

『うん、留学の事、どうするか決めたよ。それでね...』






「...え、てことは」

『うん。＿行くよ、フランス』




そう、私はフランス行きを決めた。

「もしかして許してもらえなかった?」

『ううん違うの。これは私が希望したの。私、今まで何も考えず過ごしてて本当にこのままでいいのかなって』

「でも、Aちゃん頑張ってるじゃん」


『...ううん、全然。私、自分だけが頑張ってるって思い込んでて実は沢山の人に支えられてた事に気付いてなかった』

自嘲気味に笑って見せるものの、三人は辛そうな表情を浮かべている。

「それを言うならあたしだって同じよ」

『園子ちゃんは違うよ、ちゃんと自分を持ってる。蘭ちゃんもね。...だから自分のしたい事を探しに行くよ』



この想いは揺るがない。

自分で決めた事だから。

「...そっか。Aが決めた事なら応援するしかないわね」

『園子ちゃん...』

「あっ、でも連絡は取りたいな」

『蘭ちゃん...』

「帰ってきた時は私の奢りだよ」

『梓さん...皆ありがとう』

これで私も心置きなく出発できる。



「ところでフランスにはいつ出発?」






『実は、この後で...』



「はいぃ!!?」



三人の声が三重奏となって響いた。

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