私は、平穏で静かな高校生活を送りたいお嬢様です 2【安室透／降谷零】

No,71　降谷side ページ25

使命で生きる俺らは、いつ死ぬか分からない状況の中で闘っている。

だがもうお前らはここに居ない。

使命で生き、国民や国のために死ねたなら本望だと割り切るしかなかった。

仕方がないと。




だが本当にそれで良かったのか。

仕方がないなんて言葉で片付けてしまえば簡単だ。



未だに死を受け入れられない俺はお前らにとっていい迷惑なのかもしれない。




＿なぁ。俺はどうすればいい?


俺を抱き寄せる小さな体を黙って抱き締める。


今、言葉を発したらボロが出そうになるから。




『安室さん、返事は要らないので少し聴いて貰えますか?』



こんなに小さな体から、逞しく、凛とした声が聴こえる。



『人って本当に大切なものを失ってしまったら、それはもう人として生きていけないんです』




生きていく中で沢山のものを得た。

地位、権力、信頼。

その分失ったものだってある。



それは、仲間。


何かを得た時よりも失ってしまった喪失感の方が大きい。



それなら得たものに意味なんてあるのか。

大切なものを失った俺は人として生きていけないのか。




『安室さんは間違ってない』


彼女の腕に力が入る。



＿間違って、ない?



『安室さん、前私に言ったじゃないですか。守りたいものがあるって』



ある、守りたいもの。



『安室さんも捨てられない何か。...ある筈ですよ』





何が正義かなんて分からない。

受け止められないとか言ってる場合じゃない。





彼女の肩に顔を埋める。






ただ、今だけは。

お前らの前で泣く事を許してほしい。

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