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侑李side
大貴「今日の撮影延期だって。」
医務室のベットに横たわる涼介を囲う様に
座っていた僕達にそう告げたのは大貴だった。
でも僕は大貴の言葉は片耳に、
涼介から湧き出る汗を拭き続ける。
宏太「もう病院行くか…？」
光 「まっ…、行くのは確実だよ…。」
裕翔「で…でも…、本当にただ味が苦手だっただけかもよ…？」
宏太「味が苦手なだけで…、普通あんな何十分も吐くか…？」
裕翔「それは…、」
光 「現実を受け止めたくないのは分かるけど、今目を背けたらもっと酷い事になる。分かるだろ？」
侑李「…。」
ヒカの言ってる事は痛いくらいに分かる。
もし今涼介の“大丈夫”を信じたら、
もう当分あの輝く笑顔が見られないってことくらい。
ただ…、
あの病気を率直に受け止められないんだ…。
雄也「信じられないならこの手見ろ。」
でも、
そう言って雄也は完全に脱力し垂れ下がった
涼介の手をそっと掴みこちら向け見せてくる。
そうここでやっと現実を知るんだ。
浮き上がった骨、
そしてその手には無数の痣。
雄也「栄養不足だよ。」
裕翔「そんなん僕らだって分かってるよ…、」
伊野尾「山田を信じてあげるのは大事、俺らだって本当は信じたいよ。“拒食症”じゃないって。」
侑李「っ…、」
伊野尾「でも…、もう分かるだろ…？…。それならさ、治るって。そうやって違う意味で信じてあげるのも…良いんじゃないかな？」
裕翔「違う意味で…、やまを信じる…。」
大貴「信じるって、１つの意味だけじゃないからな。」
侑李「うん…。」
宏太「行こう、山田の未来の為にも。」
裕翔「…。だね…、」
そう言って涼介を含む僕達を見つめる目は…、
__お兄ちゃんの目だった…。
涼介がこうやっていつも全力で頑張れるのも。
ＢＥＳＴが辛い時ちゃんとお兄ちゃんして、
涼介を本来の弟にちゃんと戻してあげてるから。
たくさんたくさん甘えさせてあげて、
たくさんたくさん褒めてあげてるんだ。
だって涼介は紛れもない人間、
寧ろ本当は人より怖がりで儚く脆い。
なのに真っ暗で先が分からない道を先に１人行き、
僕らが後を追う時には足場を良くして、
なかった明るい灯火を付けてきてくれる。
１人無理をして。
だから涼介はすぐ故障するし壊れる。
でも、
その時ちゃんと愛情を込めて治してあげていたのは、
ＢＥＳＴだったんだ。
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作者名：麗皐 | 作成日時：2020年8月29日 21時
