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伊野尾side
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白いベッドの上で入院服を着て横たわる俺。
その横には同じ様な状態の大ちゃん。
皆察した通りここは病院だ。
あの時山田が持って来てくれたスマホも
落下の衝撃で壊れて使えなくなってしまい、
途方に暮れていた俺ら。
でもたまたまそこに高木が助けに来てくれて。
今ここにいるんだ。
俺の腕には点滴が何本か繋がっているが、
山田の腕には俺の何倍もの
点滴が繋がっているのだろう。
というのも、
山田は俺らとは違って重傷で、
違う病室にいるんだ。
俺は幸い捻挫、大ちゃんは軽い擦り傷から傷。
それから低体温症で済んだ。
でも俺の代わりに犠牲になった彼は、
頭部の強打による、痙攣や嘔吐。
意識が朦朧とし眠り込んでしまう症状。
それから腰を激しく打撲し内出血をし、
足を酷く捻挫したらしい。
伊野尾「ハァっ…、」
大貴「なぁ、山田起きたって？」
伊野尾「んんん、まだ。たかぎから来てない。」
大貴「そっか…。早く会いてぇな…。」
伊野尾「俺も…。でもなんて言えば…、」
大貴「言いづらいかもだけど、ありがとう。じゃね…？山田…、ごめんって言われても嬉しくないと思うな…。」
伊野尾「確かに…、」
大貴「でもまずは俺達も怪我治さなきゃな…。山田に精神的な負担もかけられねぇよ…。」
伊野尾「山田に元気な状態で会える様にしねぇと。せっかく山田が俺を庇ってくれたんだ。笑顔で迎えないと。」
大貴「だな。俺は明日退院できるって言われた。ちゃんは明後日だってな。」
伊野尾「うん、すぐ治してやるから。」
大貴「じゃあ、もう今日は寝よっか。」
伊野尾「だな。」
大貴「…。おやすみ、ちゃん。」
伊野尾「おやすみ。」
それから俺は大ちゃんの声を最後に目を閉ざした。
でもその瞼の裏に浮かんだものも、
もちろん山田の顔だった。
早くお前に会いたいよ。
お前に謝りたいよ。
お前が恋しいよ。
__ねぇ、目を覚まして。山田。
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作者名：麗皐 | 作成日時：2020年8月29日 21時
