・ ページ45
「あ〜、Aちゃん寝ちゃったねぇ」
「うわホントじゃねぇか。コイツ飲みすぎなんだよ」
萩原と松田がAの頬をつついてみても、彼女は規則正しい寝息をたてるだけだった。
仕方なく残った5人で飲み会を再開することになった。
「なぁ諸伏ちゃん」
「ん?」
萩原が眠ったAに目を遣りながら訊く。
「やっぱり可愛いよな、Aちゃん」
「えっ」
「もし俺がさ……Aちゃんのこと欲しいって言ったらどうする?」
萩原の目が真剣な気がして、景光は息を飲む。
しかし、気持ちは決まっていた。
景光は眠るAの髪に手を触れ___萩原に告げる。
「絶対に渡さないよ。相手が萩原であっても、Aちゃんだけは譲れない」
その言葉に萩原だけでなく、他の3人も目を見開く。
やがて____
「あははっ、さすが諸伏ちゃんだねぇ!」
「成長したな諸伏!」
「7年前とは大違いだなァ」
「今のはAにも聞いててほしかったな」
感心したように大笑いしだした。
「えっ、な、何?もしかしてオレ、試されてた感じ…?」
「ごめんよ諸伏ちゃん、Aちゃんを奪おうだなんて考えてないから安心して。ただ7年前と比べてみたくて」
「7年前…?」
首をかしげる景光に、松田が説明する。
「ヒロの旦那、覚えてねぇか?
警察学校時代、萩原が“俺がAを好きだって言ったらどうする?“って言ったときのこと」
「そ、そう言われてみればそんなこともあったような…?」
「ヒロ、そのときになんて答えたか覚えてるか?」
「お、覚えてない…」
「そのときヒロはな____“萩原には敵わないから……もしそうなら自信ないな…“って言ったんだよ」
「え、」
自分はそんなこと言っただろうか…?
景光は記憶を探り、その出来事を思い出そうとする。
「…あ。そういえばあったかも」
「だろ?いやー、諸伏ちゃんも男前になったなぁ」
「結婚式には呼ぶんだぞ」
「け、結婚って……みんな気が早いなぁ…」
組織に生きていることを隠している今、Aと結婚することは難しい。
でも、と景光は考える。
組織が片付いたらAにプロポーズするつもりだ。
そしたらこの4人も呼んで結婚式を挙げたい。
だからそのためにも、今は組織解体のためにやれることをやるだけだ。
それまで待っていてほしい。絶対幸せにし続けるから。
諸伏景光はかけがえのない同期に囲まれながら、愛しいAに微笑みかけたのだった。
【END】
1255人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くるみ(プロフ) - とっても面白かったです (10月6日 0時) (レス) @page47 id: dd662f3c96 (このIDを非表示/違反報告)
Rei(プロフ) - はじめまして、景光くんの優しさや真面目さが大好きなので、景光くんの一途な思いに凄くときめきました。素敵な作品をありがとうございます。 (2022年9月21日 3時) (レス) @page47 id: 8f97d5546c (このIDを非表示/違反報告)
江良(プロフ) - 足軽さん» コメントありがとうございます!大好きだなんて嬉しいです…!このお話が栄養剤になるなんて光栄です(笑)疲労をほぐして頑張ってくださいー! (2022年8月28日 15時) (レス) id: 37f133a8ec (このIDを非表示/違反報告)
足軽(プロフ) - 大好きすぎます………栄養剤になりますありがとうございます………疲労によく効く…… (2022年8月28日 15時) (レス) @page1 id: 762e6989c9 (このIDを非表示/違反報告)
江良(プロフ) - 田舎ママさん» コメントありがとうございます!素敵だなんて…!めちゃくちゃ嬉しいです!こちらこそ最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年8月19日 12時) (レス) id: 1888b997ab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ