38話 ページ43
「A。…ほらよ、くれてやる｣
ドアが壊れんばかりの勢いで開けられズカズカと部屋に入り込む勝己を見て溜息がでる。
「ノックしろよ、ノック。着替えてたらどーすんの…ったく」
差し出された箱には、フルーツタルトが入っていた。…ちょっと勝己の好みが入ってる気がするけど、まあいいだろう
「丁度2個あるし、半分あげる」
「…って、おい！｣
いや、2個を1個ずつ半分にするとは言ってないし。1個の半分をあげるよって意味で言ったんだしー
「はぁ！？んだとこの野郎！」
「いーじゃん！ほら、私は一応病人みたいなもんでしょ！入院してんだし」
「ぐぬぬぬ」
睨みながらホークをタルトにぶっ刺す所を見て、自然と笑みが浮かぶ。それに釣られたように勝己も口の端が上がった。
それから学校の様子(主に出久の悪口)や、皆からのメッセージを聞いたりしていたら、昨日の続きの時間になってしまった。
「手、握っててくれる？」
「…ん」
ゴツゴツした手を握る。勝己がいるなら、怖くない。どんな事があっても、きっとこの手だけは裏切らないだろうし、離してやらない。
ドアを叩く音がなる。しっかりと息を吸い、声を出した。
「どうぞ」
「おはよう、Aさん｣
今日は、校長とお医者さんだけでなく
相澤先生も来ていた。
「元気そうで良かった。さて、時間がないので早速話に入るけど。まずはコレを見て欲しい」
ノートパソコンを渡され、それを勝己と覗く。それは、私が死ぬ瞬間から蘇生した後までを全て記録していた。
母さんは泣き崩れ、父さんは母さんの肩を抱き寄せ、涙を流さないよう強く唇を噛み締めている。勝己は驚く程に静かだった。静かに、絶望していた。
私は確かに死んだのだろう。
それも次の瞬間、事実がひっくり返る
“ゴキリ”
不気味な音が部屋の中に児玉した
人間が聞くには惨い、音。
目を見開き、中には吐き気を抑えるように口を手で覆う者もいた。
それもそうだろう。これは蘇生と言うより人形の修復のようだった。バラバラにされたパーツを早送りで治していくような
「なに、これ」
逆方向に曲がった足は、音をたてて真っ直ぐになり、腹は中で蛇が暴れているかのようにボコボコと起き上がっていた。
そして、その不気味な音が止むと同時に機械音が鳴り響いた。
「……それが、今回起こった全てさ｣
「……そ、うですか」
返せる言葉がそれ以外なかった。
思わず自分の体を見る。以前とは違い自分の体のようには思えなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 904人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花帆 - 更新ありがとうございます！生き返ってくれて良かった…かっちゃんたちのためにも(泣)続きも楽しみに応援しております！ (2019年3月16日 3時) (
レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - ありがとうございますー！更新遅くなりますが、これからもよろしくお願いします (2019年2月28日 0時) (レス) id: 7d2fd97e02 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 兄妹じゃなかったけど、心の繋がりはちゃんとあるのが良いです…！かっちゃんのデレさ萌えますし、守ってくれてカッコ良い(o>ω<o) 夢主ちゃんの全ての記憶…めっちゃ気になります！！続きも楽しみにしております♪ (2019年2月22日 18時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
あめだま(プロフ) - あと、何かリクエストあったらどうぞー (2018年7月17日 23時) (レス) id: a35773eaaf (このIDを非表示/違反報告)
あめだま(プロフ) - 更新全然出来なくてすみません…。頑張ってなるべく更新しますね！ (2018年7月17日 23時) (レス) id: a35773eaaf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あめだま x他2人 | 作成日時：2017年8月7日 23時
