わざと ページ8
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「宮っ」
古典の教科書とノートを片手に、私よりずっとずっと高い肩に呼びかける。
「あー………Aか」
「あーってなんやねん」
意味ありげな空白ののち、「いやなんも？」と不自然に誤魔化す宮。
まぁええか、と私も適当に流しておく。そんなことよりも、
「なあ、角名くんに言うたん宮やろ」
これが聞きたかったんよ。
何が、って言わんくても伝わってるやろ。
それは宮の目の動きから確信を得た。
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･･てくてく。
確かに行き先は同じ。
やけど、教室移動を宮と一緒にって、なんか新鮮やなあ...、ってまぁ今はそれちゃうねん私。
最近..特に今日、集中力ないなあ私。
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「言うっ…………てへんけど？？一応聞いとくわ、何の話や？？？」
「いや慌てすぎやし、分かりやすいねん宮は。何の話とか一番よう分かっとるやろ」
冷たそうな冷や汗が宮の頬を伝う。
アホやな、と笑いそうになるのを堪えて話を進める。
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「言い方変えよか？」
「変えんでいいです」
「角名くんにバラしたやろ」
「ほんまごめんなさい」
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宮が素直に白状してきたところで、こらえきれなくなった笑いが思いきり爆発した。
ほんまおもろい、やっぱ宮はツボやわ、ほんまに。
そうやって私が笑っていると、宮も一緒になって口を開けて笑ってきた。
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「角名と仲ええんやろ？」
「…好奇心の塊みたいな人にグイグイ聞かれるんはなかなかやった」
確かに喋る方やけど、と付け加えれば、相談乗ってくれるかもしらんで、と返される。
「み、」
言いかけて、とめた。
なんで今あんなこと言おうとしたんやろう。
相談かあ...、と想像する。できるだけ細かく。リアルに。角名くんが言いそうなことを考える。
『まぁいいんじゃない？付き合ってみなよ』とか言ってきそうやなあ…というところまで考えて、私は宮に白を切った。
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「…人生相談、とか？」
一瞬。
表情と表情のつなぎ目に“間”があったけれど、一秒にも満たないその間は、見間違いやったような気がする。
「･･ええんちゃう、悟り開いた顔で導いてくれんで」
「あっ今の角名くんに言っといたるわ〜」「嘘やん冗談やし!!」
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作者名：沖司ハナ
| 作成日時：2018年5月27日 23時
