彼のはなし ページ37
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「―・・そんで、翌週やったかな」
宮のはなし。
まるで知らないどこかの誰かの話を聞いているような気になった。
だって、田沢くんが話す宮って、
私が知っとる宮とちゃうんやもん。
「その、同級生の子らに……あー、いや、俺も詳しくは知らんねんけど」
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『俺やったら、コソコソせんと直接聞くし言う。
後悔したくないやん。好きなんやから』
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「――って、俺、それ聞いて、諦めよかなとか言うとった自分アホやんって思ってん」
「そうやったんや...」
好き。
とかそういうの、宮も知っとるんやなあ。
「あー、なんか」
ヘンやんな、と田沢くんが言う。 「単純ってよく言われるねん」
ぽりぽりと頬をかいて、自分のことを困ったやつやとでもいうように笑っている。
正しいかはわからんけど、優しさを分けてくれる人には正直に接さなあかんと思う。
ありのままを渡すべきや、って思う。
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「ヘンちゃうよ」 私も、と付け加えられるような経験は、脳みそのどこを探しても見つけられへんかったけど。
「でも、意外やなって思った」
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まぶしくて、目がやられるわ。
いつか。
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何が、とは言わんかったのに、田沢くんは主語を当ててきた。
「・・宮?」
「…うん」
「宮は、あいつは、まぶしいわ」
「・・そうやねん、」
太陽見るとき用のメガネ。
あれを、久しぶりに思い出した。
そのとき、胸がぎゅっと痛んだ。
はじめてのその痛みの原因が、私には分からなかった。
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作者名:沖司ハナ | 作成日時:2018年5月27日 23時