考えろ ページ32
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「A、今日も来れるん？」
見学、の、「う」の口をした宮と目が合って、無意識のふりをして目を逸らした。
あー嫌やな、なんか、こういうん、
無意識のふりとかぜんぶまとめて、意識を意識しとるんは私のほうだけやから。
しかも意味も分からずに。
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「･･あー……と、今日は…」
メールアドレスを交換した話は、さすがに宮まで回っとらんやろ…と信じることにして、少しの間も怪しまれないように普段通りのトーンで返す。
「用事があるから、見学行かれへんくて」
･･いやまあべつに、田沢くんのことは宮も知っとるわけやし、べつに、うん、
話したってええんやけど。
くる、くる。
間の静けさに所在のなさが目立つ両手を握ったり一本ずつ押してみたり。･･あ、つめ伸びてきてる。
―宮に言わないのは、宮がたまに核心を衝くようなことを言うから。
たとえばこの前の『ちゃんと理解してからにせえよ』とかも、答え合わせなんてしてへんから合っとるかわかれへんし、ていうかそもそももっとストレートに言えや意味わからんねんって感じやけど、それでも『理解しとるわばーーーーか！』って言い返したくなるほど、
その通りだった。
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「あ、そうなん？じゃあ明後日は？」
「まだ分からんけど、いけたら行くわ」
「･･まだ分からんって、長引きそうな用意なん？」
「んー、まあ、うん、どうやろ」
「ふうん......」
興味も無さそうに言ってのける。「ま、ええわ。ほなまた」
ひらひらと振られた手に、私も一応振り返したけれど、方向転換をした宮はもう既に前を向いていて。
分かっとるわばーーーーーか！！！
って、後ろ姿に叫びたくなった。
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作者名：沖司ハナ
| 作成日時：2018年5月27日 23時
