特別なもの ページ31
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「メールアドレス交換しませんか!」
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―田沢くんが言うてきてくれたそれは、私の予想とかけ離れていたわけではないのに、
なぜか、すごく、私のなかにすぅっと入ってきた。・・ような気がした。
SNSのアカウント、とかやと思ってたから、新鮮さに驚いたのかもしれない。
( 断る理由、 )
ないやんな、答えを探した数秒。
ええよー、と頷けば「ほんまに?!よかった〜〜......」と。
こんなにも分かりやすく安心するひと、漫画以外ではじめて見た。
( 田沢くんって、めっちゃ人柄良さそうやんなあ )
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紙に渡された英数字の羅列を見て、ちくり。
どこかが痛んだ。
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田沢くんには、その日の夜に『登録したよ』という旨のメールを送った。
三十分ほど経ってから、返事がきた。
『めちゃくちゃ緊張して返信遅なった!ごめん!登録ありがとう(^□^)』
…同級生の男の子とメール、ってなんか、
なんかあれやな。
次第に顔に熱が集まっていく。カップルでもないのに。好きな人ですら、
ないのに。
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ちがう、と頭に三文字が浮かんだ。
その瞬間すべての熱が常温に戻ってゆく。
宮の、『ちゃんと理解してからにせえよ』がずうんと私にのしかかる。
重い。
いやほんま、みんな、こんな重さ抱えて付き合ったり別れたりしとるん?ほんま?
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初期設定の着信音が鳴る。
『明日、帰りちょっと時間ある? この前、ほんまに緊張しすぎて全部話せてへんかったから、ちゃんと伝えときたいんやけど…』
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「展開はや...」 部屋でぽつり、つぶやいてみる。
テレビドラマ、月9でも見ているような気分だった。
了承の返事を送るまで、少し時間がかかった。
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作者名:沖司ハナ | 作成日時:2018年5月27日 23時