他意 ページ4
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この班別授業では3クラスごちゃ混ぜで、クラスが違う私と宮も、同じ教室で授業を受ける。
とはいえクラス別出席番号順の座席なので、当然宮とは席が遠い。
ペアワークという先生からの指示があるたび、隣の席が宮なら良かったのにな、と思う。
･･仕方ないんやけど。
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＿授業が終わって、選択教室から自分の教室へ戻り、後ろのロッカーで教科書を出し戻していると
いきなり後ろから話しかけられた。
「..なぁ、湊川さん」
「…あ、宮くん」
「委員会のプリント、これ追加で貼っとけやて」
「あ、ほんま？ありがとう」
―保健委員が同じの、宮治くんだった。
これ、と3枚ほどのプリントを手渡される。
その間ずっと、手と紙が擦れる音だけで。
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「あ、もしかして放送で呼び出されてた？」
無言がくるしい人とくるしくない人の違いはなんなのだろう、とか
くるしい時とくるしくない時の違いは何だろう、とか。
ごちゃごちゃ考えていると、宮くんが「いや」と少し笑う。
「保健委員長がバレー部の先輩やねん。で、朝練のときに渡されただけやで」
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なら良かった、と安心した姿がわかり易かったのか、
湊川さんて変なとこ心配性やんなぁと言われてしまった。
変なとこってどんなとこやねん、とツッコミを入れて話を続けられるほど、私と宮くんはまだ仲良くない。
やから会話はそれで終わりやけど、
「あーあと、この前のアンケート、女子の分集めといてくれた？」
「……あつめ…たわ、うん集めた」
昨日のお昼休み。
未提出だった女子３人が遅れてごめん、と私の机まで持ってきてくれたことを思い出した。
「ほんなら貰っとくわ。部活のとき先輩に出しとくし」
そう言ってくれた宮くんに甘えて、プリントの提出は任せることにした。
ありがとう、とお礼を言えば不自然なほどじっと見つめられる。
視線の先。
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「…な、なんかついとる…？」
「……いや、何もついとらんかったわ」
･･不自然な。
視線のそらし方やな、と思ったときには彼はもう自分の席に戻っていった。
( たまに似てへんよな )
ふと、何人かからの視線を感じたような気がして、教科書を持つ手に力が入る。
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好奇と憧憬の狭間。
パッと浮かぶのはニカッと笑う宮だった。
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作者名：沖司ハナ
| 作成日時：2018年5月27日 23時
