心配 ページ27
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それから話は少し盛り上がり、トイレットペーパー談義をしていたら私がもたれかかっていた扉が動いた。
「間に合った!?!セーフ!!!」
―と同時に、宮の声がほんまに真後ろから聞こえた。
ほんまの真後ろでびっくりしたわ。
「…は…?A…?」
なんで、とポツリ。
零してから、宮くんのほうを睨んだ。
「サムお前がなんか言うたんやろ!」
「言うてへん」
「いやその顔絶対言うとるやつやん!その顔!!」
「まぁまぁいいじゃんなんでも、それより準備しないと」
適当にその辺座ってて、と言って角名くんは行ってしまった。
あと角名くんに仲裁された、ケンカになりかけやった宮たちも。
ポツンと一人その場に残される。
このあと、どこでどうしとったらええんやろ。
運動部の部活見学なんてしたことないんやけど。
ボールとか転がってきたらどうするべきなんかなあ、なんて色々その場でつっ立って悩んでいれば、そのうち舞台側のほうに十数人が集まった。
「今日は大学の入試説明で三年は来るん遅いから――」
顧問の先生らしき人の説明が入り口側に立っている私の耳にも届く。
さすが体育会系。声量がすごい。
ゥアッス!!みたいな挨拶?のあと、体育倉庫やら準備室からたくさんのボールが出されて、時間を区切ってサーブやレシーブやアタックの練習をしている。
私は文化系やからあんまスポーツに詳しくないねんけど、それでもただの授業やただの部活とはべつもんやって分かる。
強豪や。
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―しばらくして笛が鳴った。
「休憩ー!」
ふと時計を見れば一時間なんて優に過ぎていて、ボールの音、この場所にだいぶ惹きつけられとったんやなあと感じる。
そうして、キュッキュッ、と体育館シューズで歩いたとき特有の音が近づいてきたかと思えば、宮やった。
さっきまでは忘れてたのに、宮の顔を見たら、やけに。
思い出してやけに心配になった。
私の名前を呼んだあの表情が、あの声が、
なんで、と吐かれた言葉が迷惑やと言うてるわけではありませんように、なんて、
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作者名:沖司ハナ | 作成日時:2018年5月27日 23時