冗談、うそやで ページ26
治side.
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昨日の夕方、帰って来たツムは開口一番そう言った。
『やばい!マネージャー誘ってもうた!やばいどないしよ!なあサム!!』
…いやなんやねん、って。
勢いあまって言うてもうた、と興奮気味のツムをふっかけた。ふっかけるつもりで言うたった。
『友達を部活に勧誘するんは別におかしいことちゃうやろ』
だれのことかは分かっとったけど。
あえて友達って言うて。
『・・・まぁ...そやけど……』
『見学だけでもしてもらったらええやん』
『いやでもそんなん、』
緊張するし、って、どこに緊張するとこがあんねん。
ええやんか友達なんやったら、
好きなやつなら別かもしらんけど。
そんなような言葉をふっかけて、焦らせて慌てさせてあわよくば気付かせて。
『代わりに俺が言うたろか、冗談やけど』
『………俺の友達はお前の友達ちゃうねんぞ』
『なにが言いたいねん』
分かっとったけど。
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翌日の朝練のとき、スナにも言うた。
『え?勢いあまったんならしょうがないじゃん』
『スナお前…』
『どうしようもないし』
他人事のように(いやまあ他人事なんやけど。双子の俺かて他人事やわ)笑うスナは、たぶんその“友達”が誰なんか気付いとる。
ツムに直接確認したわけとちゃうんやろうけど、ま、分かるやろなあんなん。
『だってさ、マネージャーになってって言ったのはその場の勢いでした、やっぱりナシで、とか言うの?』
『そんなん言えるわけないやろ!』
『ていうか気持ちが無いわけとちゃうし』
『じゃあいいじゃん』
悩む意味、と軽く笑ったスナに、こっそりと、昨日の“俺の友達はお前の友達とちゃうねんぞ”のくだりを話せば少しわるい顔のスナ。『言っちゃえば?』
『・・ま、言うたろかなとは思とる』
『言いなよ、そうでもしないと進まないって』
『やんなあ、そう思うわ』
やから少し、冗談の延長。
お前の友達は俺の友達ちゃうくても、俺のクラスメイトではあるんやからな。
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作者名:沖司ハナ | 作成日時:2018年5月27日 23時