好きとかいう ページ3
『好きです！』
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―そうやって、他人から好きだと告白されたのは初めてだ。
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隣のクラスのサッカー部のひと。確か、ハキハキとものを言うタイプ。
私の記憶と同じく、それはキッパリと。それは断定であった。
一点の曇りもない、という言葉が頭に浮かんできたけれど、恥ずかしくなってそれは打ち消した。
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ぎゅ、と握れば手汗の存在に気付かされる。
両腕の位置に、迷った。
たぶん私は焦っていて、脈打つ速度はいつもより速くて、
なのに好きだっていう気持ちが分からなくて。
誰からも、どこからも置いていかれているような気がした。
そんな人生はじめての放課後だった。
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「はぁ!?誰がお前に告るん!?」
嘘つけや、とわかり易く驚いてくれたのは隣のクラスの宮侑。
一年のとき同じクラスで、一緒に体育委員をしているうちによく話すようになった、バレーが大好きな友達だ。
体育委員に立候補したのは、他に誰もやりたがらなくてなかなか決まらないのが面倒だっただけで、私はべつに運動が好きとかいうわけじゃない。バレーのルールも怪しい。
･･それでも宮にバレーの話をされるのは、
わりと好きだったりする。わりとね。
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「いやいやありえへんわ…ないない」
「お前ほんっま失礼やなあ…」
まぁ信じひんくてええけど、と会話を切れば、
逆にグイグイモードに入ったのか質問攻めをされる。
ありえへんのやなかったんかい。
「誰！？誰に告られたんや、なあ」
出さんほうがいいやんな、と思ったときには既に口は動いていた。
なんでやねん私の口。
「……田沢くん、おるやろ宮のクラスに」
「田沢ぁ！？！」
「ちょ、声でかい」
シーッ！と宮を宥めているうちに、授業開始のチャイムが鳴った。
よっしゃナイスやチャイム。
私は宮にほなまたね、と言って自分の席に戻る。
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作者名：沖司ハナ
| 作成日時：2018年5月27日 23時
