サイダー ページ17
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……ただの苺サイダーやん。
―というのが、とりあえず一口 ごくんと飲み込んだ感想。
なんで“パフェ”って付けたん?なんで飲む側に中途半端なドキドキを与えてきたん?と小一時間は問い詰めたいほど、私が予想していた生クリームのベタベタ感は無かった。
それどころか、むしろ爽やかさがある。
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舌に苺味の炭酸が触れて、微弱な刺激が走る。
それが少し気持ちよくて、はんぶんこのボーダーラインまで一気に飲み干した。
宮はわくわく、といった擬態語を纏い「なあ、どんな?飲みレポしてや」と やけにテンションが高い。
…宮ってたまに精神年齢下がるよなあ。
思い当たる節々。
ぶふ、と笑いそうになるところを抑え、飲みレポとやらを始める。
「…苺、が最初にきて」
「ほぉ、そんで?」
「一気飲みできる程度のシュワシュワソーダで」
「優しめなんやな?」
私は続けて、爽やかさがあることを説明する。
優しさと爽やかさを兼ね揃えてる、なんてイケメンなんや!とはしゃぐ宮。弟子になりたい!と私。
弟子になんのは俺やし、いや半分先に飲んだ私が一番弟子や。
なんともしょうもないやり取りののち、「総評は?」と宮。
総評、総評か…。
つまりまとめってことやんな・・と頭をひねる。
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しばらく考えて、「あ」と。思いついたことをそのまま口に出した。
「..青春の、味」
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ポカン・・・。と漫画なら顔の真横に書いてそうな、そんな表情が2秒ほどで笑顔に変わった。
「なんやねん、それ」
ぶはは、と大笑いの宮。
「苺パフェサイダーの総評や」
自分で言ったことが急におかしくなって、私も笑う。
私は宮に、飲んだらわかるわ、とペットボトルを突き出した。
フタは開けたまま、私の片手に持ったままで。
ペットボトルは宮の手へ、傾けられて中の苺サイダーが宮の口へと流れてゆく。ごくんという音とともに喉が動いた。
―同じ刺激が、宮の舌に走ったはずや。
…いや、同じなんて、言い切られへんねんけど。
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作者名:沖司ハナ | 作成日時:2018年5月27日 23時