未知数 ページ16
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あつあつのピザまんをはんぶんに割る。そこから漏れ出る白の熱気。今にも垂れて落ちそうなモッツァレラチーズ。
感動。
「「おおぉ…！！」」
声を揃えて、仲良しかってツッコミが入ってもおかしくないくらい、やけに息が合う。
「な、はよ食べよほんまに」
私が急かすと「インスタ映えはいいんか」と茶化す。
「今は目の前のピザまんやろ！」
―べつにピザまんがめちゃくちゃ大好物、っていうわけちゃうねんけど。肉まんもあんまんも好きやけど。
日によって気分があって。やからって、今日がピザまんの日！…っていうわけでもないねんけど。
そんなただのいち女子高生が釘付けになるほど、このピザまんには魅力がある。
魅了されてるって言うても間違いとちゃうんちゃうかな、な、宮。
「…お前めっちゃ上手そうに食うやん」
「美味しいもん」
「食レポできるんちゃう？」
「ほんま？アナウンサーなろかな」
「いや無理」
「なんでやねん」
美味しいもん食べてたら嬉しいやん、と言えば、「お前サムと気合うと思うわ」と言われた。
宮くんとはそんな話せえへんから分からんけど、ピザまんの感想でも語り合ってくれるんかな。
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そういえば、と宮が片手に持つレジ袋を見つめる。
「ほんまに飲むん？」
ネタで買ったんやろ、と笑いながら聞く。
味わうように食べていたピザまんも、残りふたくちになって、それがひとくちになって、とうとう無くなってしまった。
「もちろん、飲むで」
ネタで買ったんやから飲まんと意味ないやろ、と笑いながら。
宮はもうとっくにピザまんを食べ終わっていた。私が食べ終わって少し息を吐いてから、宮はレジ袋からガサガサと例のサイダーを取り出した。
そして、私に「ほれ」と差し出す。
「アナウンサー、先に食レポ頼むで」
「はあ！？」
さっき無理って言うたやん！
冗談やん、Aならなれるわ
えええ…はあ……？いや…え、ほんまに飲むん…？！
まずいかまずくないか。苺もパフェもサイダーも好きやけど、全部足せばいいっていうもんちゃうわ。
「ちゃんと俺もはんぶん飲むから」
いやはんぶんも飲まなあかんのかーい！！
…という、ツッコミのあとにふと湧き出た、疑問。
( あれ、ちょっと待って、 )
を、一瞬で消し去って、とりあえず今はこの未知との遭遇が優しいものであることを願って一思いに口へ流し込んだ。
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作者名：沖司ハナ
| 作成日時：2018年5月27日 23時
