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ぼんやりと虫の鳴き声に意識を寄せる。「A」と耳朶を打つ声に鼻先を向ければ唇に柔らかな熱が広がった。目蓋を閉じることもせず唖然と瞬きだけを繰り返すと、ほんの数秒で離れた唇が名残惜しい音を響かせる。
「・・・怒ったか」と申し訳なさそうに眉を寄せるその表情に優越感が湧く。縋るような眼差しが落ちていた気分を引き上げて、自然と口元が緩んでしまう。これだから天然タラシは困る。
＿＿普段の強気な威勢は何処へ行ってしまったのか。
脈絡のない突然のキスはご機嫌取りのつもりなんだろう。不貞腐れている私を察して、彼なりに必死に頭を働かせてくれていたのだ。”捨てないで”とでも言いたげに瞳を揺らす飛雄に堪らなく愛おしさが溢れてくる。
『怒ってないよ。だけど私、欲張りだから・・・もっとちゃんと安心したい』
「は」
『飛雄は私だけのものだって思わせて』
＿＿＿飛雄の心も身体も、
全部が私だけのものだって実感したい。
＿＿＿愛されているのは私だけだって。
強めにその胸元を自らの方へ引っ張ると、勢いのまま上半身を傾けた飛雄が驚きに目を瞠る。おそらく私がこんなにも大胆な行動を取るとは予想していなかったのだろう。
だけどもう恥もプライドもどうでも良かった。
今すぐに飛雄の愛で満たして欲しかった。
不安に揺れる瞳が強気な笑みを捉えると、後頭部に手が回されて待望の口づけが迎えに来る。角度を変えながら絡み合う舌が互いの欲を刺激して、呼吸の合間に離れた彼の唇が甘い台詞と愛を紡いでいく。
「すげぇ可愛い」
『っ、なに、』
「いや、俺のこと大好きだなと思って」
『・・・う、うるさいな』
「安心しろ、言われなくたって俺の全部はお前のだ。今更いらないなんて聞かねぇからな」
『そんなこと言わないよ』
至近距離で降り注ぐ台詞に熱が込上げる。ストレートな文字が心臓に鞭を打つようで、駆け足になる鼓動が身体の温度を高めて熱に酔わせていく。
＿＿＿気持ち良くて溺れてしまう。
抜け出せないほど深くて、優しい愛に。
あっという間に全てが飛雄一色に満たされて、欲張りな私が「もっと」とお強請りを所望すれば満足気に綻んだ唇が何度もそれに応えてみせる。
「Aは俺だけ見てればいい」
甘くて優しい温もり。少しだけつま先に力を入れて互いの影を強く重ねれば、月灯かりがふたりの世界に朧気な光を落とした。
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惠音(プロフ) - 名無しさん» キュンですね〜！素敵なシチュありがとうございます！勉強会の話が終わったら、ちょいちょい物語動かしていこうかな〜と思っています！永山さんも登場する予定なので楽しんでもらえたら光栄です....！ (2月12日 19時) (
レス) id: eb865940ec (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 欲望が抑えられないです (2月11日 23時) (レス) id: 5d4eebdee6 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - ほのぼの会やちょい甘な会もいいけど、最近出てこなくなった永山さんが影山にアクションかけて夢主ちゃんが不安になってちょっと永山さんと取り合い的なのしてそれでも夢主ちゃん以外に興味ない影山にカウンターくらって影山と夢主ちゃんの激甘な会が見てみたい (2月11日 23時) (レス) @page44 id: 5d4eebdee6 (このIDを非表示/違反報告)
惠音(プロフ) - Lunaさん» 大好きだなんて嬉し過ぎます....！性癖に刺さる影山くんになれていて良かったー！少しでも日々の癒しになれたら嬉しいです！ (2月5日 7時) (レス) id: eb865940ec (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - 惠音さん» わぁー！お返事ありがとうございます！ほんと無限大です！！惠音さんのお話大好きです！！ (2月4日 23時) (レス) id: ae56522889 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：惠音
| 作成日時：2023年12月9日 20時
